最近の若い者は・・・・

昨日、30才ちょっとくらいの人たち数名と話す機会があったのだが、「最近の若者は嘆かわしい」と言ってて「へー」と思ったので一筆啓上。

みんなマッキンゼー東京オフィスの後輩(っていっても、マッキンゼー時代にはどなたにも会ったことがないのですが)の人たちで、全員、日本での最初の就職先がマッキンゼー、という人たち。そして皆さん、MBA留学中か、これからMBAが始まるところか、すでにMBAが終わってシリコンバレーの会社で働いている、という人たちであった。で、その彼らが

「最近マッキンゼーに入る人たちは、さらっとスマートに2年くらい働いて終わり、という感じで、がむしゃらにがんばる、という感じがない。」

なぜ、「へー」と思ったかと言うと、この手の「最近の若い者は・・・」っていう感慨、私自身は感じたことがないのですよ。

一言解説すると、大学(院卒含む)で、マッキンゼーに入ると、最初はアナリストという職で、この人たちは本当に、本当にこき使われる。とにかく、単に夜も昼も週末もなく働く、というだけでなく、精神的に「これができなかったらルーザー」という著しいプレッシャーの元で働かされるのでした。マッキンゼーと言う会社がそれなりにメジャーになったここ10年くらいは、すさまじい難関をくぐって入社した人ばかりなので、そんな自分が弱音を吐くなんて許せない、という自己プレッシャーも強力かと推測される。(参照高橋恵理さんインタビュー

(私が学卒で入った商社という業種でも、時間的には似たような働かせ方をするところもあるが、部署によって全然違う。私は毎日定時に帰れるくらいの部署に配属だったので楽勝でした。はい。)

ちなみに、どれくらい「難関」かというと、4-5年前時点情報では、東大生の3人に1人~2人に1人(1000人以上、ですね)が受けに来て、入社するのは他の大学も入れて20人とか30人とか、という感じだったそうです。ひえー。科挙の制で北京で働くみたいな感じ?

で、まぁ、私が昨日話した皆さんは、そういう難関をくぐり抜けて入った方々なのでした。

それが、最近は、「毎日せいぜい10時には退社、週末は休み」という割合普通の暮らし(なのか?)ができるようになったこともあり、「最近の若者」が増えたそうである。

ふむ。

そして、後になってから考えたのであるが、なぜ私は後輩に会っても「最近の若い者は」と思うどころか「最近の若い人ってマジ優秀」とばかり感じるのであろうか、ということ。「最近の若い者は」というのは、アリストテレスだかプラトーだかの時代の古文書にも書かれているsentimentというではないですか。

なぜ私はそう思わないのか?

うーむ・・・・と考えてはたと膝を打った。

「私が過ごしてきた組織においては、本当に最近の若い人のほうが優秀である」

という説を思いついたから。

というのもですね、三菱商事だって、マッキンゼーだって、そりゃ私が行った頃もそれなりに渋い人気があったが、決して今ほどではなかった、と思うんですよ。

その上、最初に大学でて就職した頃はバブルの絶頂。望月の欠けたることもなしと思えば、という感じで、空前絶後の大量採用、三菱商事の同期は男子250人、女子350人くらいいた。マッキンゼーは途中入社なので、別に他の人を差し置いて選ばれたわけじゃない。

もっと昔を紐解くと、私、「ひのえうま」という学年だったため、受験はいつも低倍率。

というわけで、私がいた組織は、私が去った後、本当に組織としてのレベルがあがっているため、当然のこととして、会う後輩は皆さん大変優秀である、というのが仮説じゃ。どう思います?

(あまり関係ないが、高校生の頃、オーストラリアにホームステイしたときも、当時の日本ではオーストラリアは未知の国。行く前は「その国何語を話すの?」「どこにある国?」「何でそんなところにいくの?」と
みんなに聞かれた。うちの母親はスリランカと混同して、「黒い顔の人がいるところでしょ?」と言っていた。そんなわけで、オーストラリアは希望さえすれば
必ず行けた。ところが、私が行っている1年の間に、オーストラリア政府観光局が日本で大キャンペーンを行ったため、帰ってきたらオーストラリアは大人気。みなこぞって「うらやましい」
「私も行きたい」・・・・まじで?とびっくりしたものです。)

最近の若い者は・・・・」への19件のフィードバック

  1. 私がソニーでFeliCaの部署に入ったときも、社内でも知ってる人もいなくて、Suicaが始まる前の超無名な時期だったんですよ。 花形部署はみんなが知ってるVAIOとか・・・ で、今じゃ知らない人なんていなくなって都市に住む日本人の生活に不可欠になったわけですが(私はずいぶん昔に辞めてしまいましたが)。
    岩瀬さん(ライフネットの)もBCG→リップルウッドというキャリアで”「ミーハーなキャリア」とか言われるけど、入った当時は全然有名でもなかったし誰も知らなかったんだよね”、とどっかで言ってました。
    「道なき道をゆく」ことを苦痛だと思わないタイプなのでは?

    いいね

  2. ちかさんが「この人は優秀だ」と思うときの評価ポイントに興味ありです。 🙂 頭の回転が速い、とか?
    ちなみに、「優秀だと思う」と「最近の若い者は…と思う」は相互排他ではないと思うので、分けて考える必要ありかもです。

    いいね

  3. 丙午という概念を、他国の人に理解してもらうのは、難しいでしょうね。 (たぶん大陸中国でも無理。人民共和国以外の中国語文化圏なら通じるか?)
    私は、それより三学年上の甲辰 (ここも説明面倒。癸卯の学年の早生まれ) ですが、丙午学年は羨ましかったのを思い出します。三浪すれば大丈夫、という保険でもあった訳ですが。
    でも、それよりもずっと大きな変動がいろいろな局面で起きていて、世代の差に比べたら丙午の差は知れている、と思うようになりました。

    いいね

  4. 組織のレベルが上がっていると、それはまぁ優秀な人が集まるし、そういう方しか採用もしないでしょう。逆に組織のレベル(なにを、どう評価するかはさておき)が、停滞しているないしは、おかしくなってると、これまたそれにあった人たちが集まってくるみたいです。某シリコンバレーの会社での実体験です(苦笑)

    いいね

  5. はじめまして。いつも楽しく拝見してます。
    確かに、私の東大出身でマッキンゼーの友人たちも平日は忙しいけど週末は割としっかり休み貰っているという話でした。
    私個人的には、ただひたすらに強烈なプレッシャーの下で働き続けるという体験も人生の糧となると思うのですが、逆に自分を見つめられる働き方が出来るのもいいのかなー、とか思います。人それぞれなのだと思いますが。
    最近の若い人って超優秀!って思えるような後輩が沢山いるって幸せですね!私も社会の先輩たちにそう思ってもらえるように頑張ります!

    いいね

  6. >本当に最近の若い人のほうが優秀である
    バブル最終年度に社会に出た私も同感です。休みも取らず愚痴もこぼさぬ後輩の姿に、「アンタなんでそんなに真面目なの?」と何度思ったことか。
    ただ、「仕事」がスキならそれでも良いと思うんですが、「会社」がスキなんだったら、このご時世それはちょっと。。。
    本人がハッピーならそれでも良いのですが、どの会社でもメンタル問題が蔓延しているところを見ると、必ずしもそうではないのかもしれませんね。

    いいね

  7. 僕も同じ事を思ってました。
    最近の若者は優秀だって。
    勤務先は総合商社で、入社はもう30年近くも前なのですが、その頃の商社っていうのは、利益も数百億円。それが今は桁が違ってます。人数は逆に減ってます。一人当たりの生産性は、とんでもなく上がってます。考え方なんかも非常に合理的で、昔の義理・人情は通用しない。やる気とか熱意とかじゃなく、数字で判断。何か冷たい感じがしないわけでもないのですが、それでも、きちんと成果が出てるんですよね。
    同僚とよく「今の会社だと入社試験で落ちるよな」てなことを言っています。ただ、一方で、文章力の弱い若者もいて、二極化しているのかもしれません。

    いいね

  8. 確かにそうかもしれません。
    私の会社でも、「昔は定時が終わってからが仕事の始まりだったのに、”最近の若い者は”頼りない」とこぼす人がいます。
    一般的な日本企業に勤めていますが、ここ数年、残業に対する意識が改善されたこともあり、無定量、無際限に働くのが若手だ、という時代ではなくなりました。
    かつて厳しい時代を生きた人は、最近の若手は、と愚痴をこぼし、かつて穏やかな時代を生きた人は、最近の若手は、と賞賛するんでしょうね。

    いいね

  9. 例えば野球選手だと、
    1973-1975年生まれにタレントが多いのは、
    単純に団塊ジュニアのMax期で、
    絶対数が多いからってだけのことですよね。

    いいね

  10. ふふふ。現在30ちょっとの人がマッキンゼーに入社したころにも、「最近の若者は。。。」といわれていたものです。
    まさに、ソクラテス(かプラトー?)のsentimentってやつですね。
    多くの大企業をクライアントとして見ている中で、「学生の就職したい会社ランキング上位に顔を出すころに、ちょうど会社の腐敗がはじまっている」という説がありました。学生さんはその瞬間にメディアで持て囃されている企業を選ぶので、えてしてそのころには「組織が大きくなって大企業病を誘発」「産業そのものが成熟期にさしかかっていて雲行きがあやしい」などの兆候が出ているものだと。
    さらにランキング上位=マジョリティ人気なので、”やたらと元気で新しいことをやる力のある”タイプよりも”普通に優秀でルールのあることをスマートにこなせる”タイプの人が集まることによってますます大企業病が加速する、と。
    arbitrageは投資の基本なのにね。ただそうはいっても、若いうちに大企業の仕事のスケールを覚えるのは悪いことじゃないと思います。

    いいね

  11. ★Email Subscription Request
    携帯へ転送してますが文字化けしており
    携帯パケット代もかさむので終了したいのですが
    その入力ができそうにないです。
    どうすれば Unsubscribe できますか?

    いいね

  12. 会社/部署に「よる」ように思いますよ。
    勝ち組はその理論が当てはまり、Loser会社は
    逆?かも・・少なくとも超若手は割りに優秀ですが
    真ん中の年代(40代より下)は私の周囲では
    疑問符。どうも二極分化してるようです。バリバリ
    生産性が高い人と、適度な割り切り型と。

    いいね

  13. chikaです
    >「道なき道をゆく」ことを苦痛だと思わない
    ははは、道があるとがっかりするんですが、その割に王道・・・・なぜだw
    >「この人は優秀だ」と思うときの評価ポイント
    知識がある・理解が速いという「じあたま」と、「努力」の両方ですかね。バブル世代はeither orな人が多かった。「努力」は、長時間働くということではなくて、人と違うキャリアに挑戦するとかいろいろです。
    >強烈なプレッシャーの下で働き続けるという体験も人生の糧となると思うのですが、逆に自分を見つめられる働き方が出来る
    多分、両方やってみたほうがいいと思います。天才はなんでもありですが、それ以外の人は特に。
    >二極化
    元の文章で、「私が過ごしてきた組織においては」とつけたのは、そういうことを暗に言っておりまする。。。
    >「学生の就職したい会社ランキング上位に顔を出すころに、ちょうど会社の腐敗がはじまっている」
    トップスクールのMBAがこぞって就職する頃には、その業界は終わっている、ってのもあります。3-4年前は、PEかな。笑
    >どうすれば Unsubscribe
    文字化けしてても、下の方にunsubscribeというリンクがないでしょうか?それをクリックすると可。だめだったらメールしてください。私が手動でdeleteします。

    いいね

  14. 個人を基礎に考える人でああれば、転職する後輩の事も”ありうると”思えるし、仕事の上ではリスク管理の部分的問題に過ぎないんじゃないでしょうか?
    組織ありきの考え方だと、やめていく人は敗者(我慢比べの)に見えるのかもしれないです。
    後輩からしてみれば、心配してくれるのはありがたいが、人の人生の価値を勝手に決めてもらっても困るので、あたたく見守るくらいにして欲しい。って感じになるのかと思います。

    いいね

  15. 自分より若い人が、さらにその人より若い人を批判したりしていると、何となく、「へー」っていうか、微笑ましいなっていう感じがしますよね。日本の出身校に遊びに行ったとき、私に対して敬語を使っている後輩が、そのまた後輩に敬語を使われていて、「ふふふ」って思ったことあります。
    私の場合、大学院→大学の教員っていうキャリアで、大学院のときも少数精鋭っていうか、マイナーな学科に入ったから同級生の数は極端に少なかったし、教員になったとき同じ学科には同期がいなかったから、あまり自分の同期とその下の期と、っていう比較が出来ません。でも大学みたいな所でも、少しずつ変化しているから、自分より上の人と、自分より下の人の感性が随分違うなーって思うときはあります。応募要項・応募環境のちょっとした変化で、入ってくる人は随分変わるんですよね。面白いなって思います。

    いいね

  16. chikaです
    >転職する後輩の事も”ありうる
    マッキンゼーは転職するのが基本です。大学みたいで、「院に進む人もいれば、たまに教員になるためにずーーーっといる人もいるけれど、基本は4年で卒業」って感じです。特に最近は、新入社員は基本的に2年契約・・・に近いらしいです。ですので、転職することを云々言ってるわけではないです。
    >応募要項・応募環境のちょっとした変化で、入ってくる人は随分変わる
    そうそう。

    いいね

  17. マッキンゼーって東大生が1000人も受けるんですか。誰でも一度は目指すって感じですね。
    アナリストの仕事の大変さがいまいちイメージできないんですけど、3日なら3日なり、5日なら5日なりのクオリティで仕上げるようなものとは違うんですかね?
    やはり結果のレポートなりなんなりに、これは2日のクオリティだな、みたいなのがミエミエになってしまうんでしょうか。
    調べものとか文章を書くスピードだったらいくらでも効率化できそうだけど、ボトルネックはインタビューのアポとかだったりするんでしょうか。

    いいね

  18. > さらっとスマートに2年くらい働いて終わり
    私、”さらっとスマートに”をちゃんと読んでなかったですね。
    > 4-5年前時点情報では、東大生の3人に1人~2人に1人(1000人以上、ですね)が受けに来て、入社するのは他の大学も入れて20人とか30人とか、という感じだったそうです。
    > 「毎日せいぜい10時には退社、週末は休み」という割合普通の暮らし(なのか?)ができるようになった
    これらを見ると、”最近の若い人”は、chikaさんが優秀と感じる30代のOBより、さらに優秀なのか?と思います。(日本での事業が縮小しているのか?とかも思うけど。)

    いいね

  19. 今日,マッキンゼーOBであるわが上司に,この頃の若い人の話をいたしましたら,「それ(残業や週末出勤しない)はねー,やってる仕事の中身が昔と今とで違うからだよー」と,言っていました。負け惜しみかな(笑)
    chikaさん,丙午なんですね,私と同じ♪共通一次で「奥の細道」の冒頭部分が出たんですよね。

    いいね

コメントする