ゾンビマッシュアップ小説:高慢と偏見とゾンビ

ジェーンオースティンのPride and Prejudice(高慢と偏見)をベースにしたマッシュアップ小説Pride and Prejudice and Zombies。ここ数ヶ月あちこちの本屋で平積みされてて、ついに好奇心に負けて読んでしまった。(Pride and Prejudice and Zombiesは、元本のストーリーは基本そのままで、あちこちに唐突にゾンビが登場するという設定を付け加えたもの。なので正確にはマッシュアップじゃないですが)。

元の小説は18世紀の終わりに書かれた、イギリスの上流階級の惚れたはれたの恋愛小説。正直なところ何が面白いか私にはよくわかりません。人物描写が精緻と言われているが、そりゃ100年前はそうだったかもしれないが、今となっては少女漫画だってもっと精緻だよ。

しかし!

その高慢と偏見を面白くするのがゾンビ。

「高慢と偏見」にはベネット5姉妹というのが登場するのだが、…and Zombiesバージョンでは、彼女たちは、中国の少林寺で修行を積んだスーパーファイターである。ゾンビに蹂躙されたイギリスで、娘たちになんとか生き延びて欲しいと願った父親の計らいだ。

さっそく、14ページ目では舞踏会にいきなりゾンビの群れが乱入、ベネット父は5姉妹に命令する。

"Girls! Pentagram of Death!” (娘たちよ!「死の星」配置だ!)

そして五姉妹はゾンビを皆殺しにする。(首をはねるんです)。

直後にストーリーは元の「高慢と偏見」に戻る。

Apart from the attack, the evening altogether passed off pleasantly for the whole family.

ゾンビの大群に乱入された舞踏会のどこがaltogether plesantlyなのかわからないが、とにかく何事もなかったように、ストーリーは次のゾンビとの戦いまで続く。

ストーリー中には、日本刀、忍者もあちこちに登場、日本の武道マスターと中国のマスター、どちらが格上かで口論になったり、「座頭一の仕込み刀に切られて死んでしまえばよろしいのよ」てな描写まで出て来る。

・・・・という感じで、「高慢と偏見」のつまらなさが耐え難くなりそうなタイミングで折よくゾンビが登場して、それでなんとか最後まで読み切れました。(「高慢と偏見」が好きな方には申し訳ない。一応、私も中学の頃にがんばって読んだのだが、今回…and Zombiesを読んで、最初の1章しか記憶にないことが判明しました。つまんない話ってそうなるんですよねぇ。嵐が丘(確か)も「姉妹が辞書オンリーでフランス語の勉強をしている」ってところしか覚えてないし。)

さて、ということで、一般受けしにくくなった名作をもう一度面白くする「ゾンビマッシュアップ」。日本でも古典名作を片っ端からゾンビ化してシリーズにしてはどうでしょうか。

「平家物語とゾンビ」(壇ノ浦の戦いでゾンビと平家が手を握り、逆転して勝っちゃうとか)
「源氏物語とゾンビ」(六条御息所がゾンビになって葵の上に襲いかかるとか)
「坊ちゃんとゾンビ」(坊ちゃんの職業は、ゾンビと戦える剣道を教えることとか)
「雪国とゾンビ」(葉子が電車で看病してる行男はゾンビに噛まれてゾンビ化する過程だったとか)

いくらでも量産できますね。

ゾンビマッシュアップ小説:高慢と偏見とゾンビ」への11件のフィードバック

  1. chikaです。
    「井口・・」はリンク先の予告編を見る限りパロディではございませぬか? …and zombiesはマッシュアップでありまする。(オリジナルの18世紀の英語で延々語らるストーリーのあちこちにゾンビが挿入される。本の筆者も「By Jane Austen and Seth Grahame-Smith」となっています)。

    いいね

  2. 私、小説のPride and Prejudiceは全部よんでいないけど、映画だかテレビ化されたものをビデオでみたことあって、結構好きだから、「えー、ゾンビ版なんて、出ちゃったんだー。」と思ったりして。。。。でも、Apart from the attack, the evening altogether passed off pleasantly for the whole family. のところは、笑えるって思いました。「くさいものにフタ」をしたがった・したがるイギリスやアメリカの上流社会を揶揄してるともいえるのかな?

    いいね

  3. 小説&映画のPride and Prejudice大好きな30代後半男性ですw
    なにがこの小説素晴らしいかって、まったく陳腐なダラダラしたラブストーリーがとんでもないご都合主義で落着するというしょーもないお話”なのに”実に引き込まれて最後まで読ませてしまうこの不思議、ってとこです。
    自分でも何故面白いと感じるのかよくわかんないんです…
    ちなみに映画はイングランドの景色が美しく撮られていてBGM的に好き。
    ゾンビも映画化してほしいな
    …主演Keira KnightleyだとPirates of the Caribbeanとかぶっちゃいそうだ

    いいね

  4. すご~い、面白すぎます。そんな小説があるんですね。紹介してくれて感謝です。B級っぷりも素敵すぎてため息が。Apart from the attack, the evening altogether passed off pleasantly for the whole family.って、確かにそんなふうにスルーしちゃうのって、アメリカの展開の早い娯楽小説でそう言えばよく見かける気が^_^; そっか、あれ、おかしいですよね、やっぱり。んで、考えてみたら、結構ドラマもそうかも。 

    いいね

  5. 来年留学予定の者なんですが、ネイティブと話していてリスニングはできるようにはなったんですが、スピーキングがどうもダメです。
    以前、千賀さんはリスニングができれば、つたないスピーキングでもなんとかなると書いていましたが、簡単な英文を毎日口ずさむのが効果的なのでしょうか?
    仕事上、日本語でもあまりしゃべっていないので、どうしようもありません。w

    いいね

  6. chikaです
    ああ、高慢と偏見ファンの方々には申し訳なく。。。。でも、高慢と偏見も、….and zombiesも両方好き、という人も沢山いるようなので是非お楽しみあれ。(というか、多分、高慢と偏見が好きな人の方が楽しめると思います。)
    英語はシャドーイングあるのみ。来年留学するなら毎日30分くらいすると劇的に向上するはず。自分に関係のある題材だけに集中するのがコツ。一点突破型。
    http://www.listen-it.com/listenit/2005/04/post.html

    いいね

  7. こんばんは。
    この作品、和訳が出た上、ナタリー・ポートマン主演で映画化されるらしいです。

    いいね

コメントする