○×△の起源に関する意外な情報

なぜ海外では通じない○×△という記号が日本で普及しているのか、という疑問について、はてなID:goldheadさん情報。こちらのリンク先を90%くらい下のほうにスクロールしたところに「配当という本の後書きに、競馬新聞の◎○△▲×の起源が載っている」という話が。

簡単に言うと、最初にあったのは よい=○ と もう少し=△で、後から、結果が未知数なもの=× が誕生。その後 × が「ダメ」に降格した、という説。(あくまで競馬新聞で、ですが)。事実は小説より奇なり!

以下、ちょっと長くなるけど引用します。

2000(平成12)年4月からディック・フランシスを読み始めた。競馬シリーズを興奮、大穴、本命と、月に二冊のペースで読み続け、2001(平成13)年1月にやっと、20冊目の「配当」を読み終わった。そして、以前から疑問に感じながら見過ごしていた事が氷解したのである。

競馬新聞でおなじみの◎○△▲×マークである。◎は明らかに良いマークであるのはわかった。順番に○△▲×と人気の順位である事は、なんとなくイメージ的に理解できた。新聞よっては△▲×の順位が逆のケースもあるが、それは大した問題ではない。問題は最後の×である。×はぺけでありダメのサインではないだろうか。

にもかかわらず、×印の馬は時々入着したり、先頭でゴールするときもあった。何故、馬に×印を付け、しかも、時々その馬が活躍するのか。誰に聞いても、納得の出来る回答は得られなかった。

そこでディック・フランシスの登場である。しかし、同じ「配当」の本を読んでも、ハヤカワ・ミステリ文庫でなければ疑問は解決しない。ミステリー文庫の後書に、結城信孝氏が「予想や家業は儲かるか?」というコラムを書いている。その中で、競馬の◎○△のルーツは、大正時代の小学校の通信簿からきているという。このことはノヴェルズ版には掲載されていない。

◎=たいへん良い、○=良い、△=もう少し、という評価が当時の小学校の通信簿につけられていた。馬券発売が復活し大正時代の終わりごろに、競馬予想の印としてつかわれ、◎(本命)-たいへん良い、○-(対抗)良い、△-(連穴)もうすこし、となった。問題は×で、これは通信簿の評価とは無関係。ルーツはアルファベットのX(エックス)が転じて、未知数の魅力 を持った謎の馬というのが起源だそうである。

×印の馬はペケではなく、未知数の魅力を持った謎の馬というならば、今までの活躍もやっと理解できた。

ということは、もしかして

◎○△が誕生したのは大正時代の通信簿

        ↓

さらに×を導入したのは競馬新聞

        ↓

そしてそれが世の中へ

という流れもありえるわけですね。だとすると、

「○ と × の間のレベルとして △ が編み出された」

というのは間違いで、

「まず ○ と △ があった。あとから、『結果にばらつきのあるリスキーなもの』という × が導入された。そして、時を経て『未知数』の × が『ダメ』に降格となった」

ということ。日本人的にはどうやったって普通「まず ○ と × ありき」で考えるところに、この意外なシナリオ。しかし、あまりに意外であるがゆえに真実味を感じたり。

で、もしこれが真実だとすると、日本人気質を表してて面白い、と思ったのでした。「未知数が高く、超うまく行くかもしれないけどボロボロかも」(ファイナンス的に「ハイベータ」) というものは、一般的に日本ではあんまり好かれない。そしてそれを表す記号が、時を経て「ダメ」になると・・・・。

スペイン語で「確実な」という意味のseguroという単語が、フィリピンで使われているうちに、いつのまにか「多分」という意味になってしまった、という話がある。フィリピンでは、実はよくわからなくても、相手の気持ちを慮って「大丈夫」と気前の良い返事をすることが多いから、ということらしい。ちょっとそれに似た話かも。(タガログではsiguroとスペルするようです)。

とはいうものの、上記の○×△の起源は、あくまで仮説なので、本当かどうか誰か調べてくれたりするとすばらしいです。

(上記以前に集まった情報を取りまとめたエントリーとして、○×△の起源情報:とりあえずの結果発表もあります。)

○×△の起源に関する意外な情報」への4件のフィードバック

  1. ●「まず○(良い)と△(もう少し)があった….そして、時を経て『未知数』の×が『ダメ』に降格となった」
    おお、目から鱗です。説得力もあるし記号が誕生する背後の考えが興味深いですね。すばらしい。
    ●ユーザインタフェイスのデザインの分野の話。チェックボックスに使う記号は黎明期ではバッテンのものも多くありました。それが今のように tick mark「v」が主流になったのは、グローバルに展開する際に日本など一部の国ではバッテンを使うと逆の意味に受け取られるから配慮したという話を聞いたことがあります。
    ●将来のインタフェイスデザインで△の記号があったら面白いかも知れないですね。「よくわからない」という選択肢はアンケートにつきもの、未知の状態を許容してくれ作業を進めてくれるインタフェイスは。
    ●chikaさんのブログタイトル名は「on」「off」「beyond」と3つの概念でなんとなく○△Xに対応しそうな点も面白いですね。(beyondは未知数のxか)。「on」「off」「beyond」という概念に対応する記号はなにかとか。

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  2. 私は日本のマスコミで働いているのですが、
    1995年のメキシコ・ペソ暴落の際に現地に取材にいったことがあります。
    実はそこで「×」に関する面白い話を聞いたのですが、
    すっかり忘れており、今思い出しました。
    その話はこうです。
    しばらく前(95年時点で見て)に日経新聞に「PRIの足元に揺らぎ」という記事が出た。
    その記事によると、制度的改革党(略称PRI、日本の自民党みたいな長期政権だが、その後02年に下野)のポスターの多くに「×」というマークが書かれており、民衆がPRIに「NO」を突きつける動きが進んでいる、云々。
    しかし、これは笑止である。
    なぜなら、メキシコでは、チェック(米国の「レ」に相当するやつ」)を「×」と表記する。
    例えば、選挙の際は、選挙用紙の政党・候補者の名前の上に「×」を書く。
    これは、その党・人物を選んだをという意味で、PRIのポスターは「PRIに一票を」と呼びかけているのだが、
    アホな日経記者はそんなこともわからんのだよ、と。
    小ネタでした。

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  3.  X (バツ)話はいろいろ面白いですね。チェックマークはニュートラルor肯定感が強いグローバルマーク?
    記事の件は、記者の人もちょっと現地の人に話しを聞けばわかったのに・・・惜しい!って感じですね。

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