アメリカの気の毒な苗字

ジャマイカのUsain Boltってのはすごい名前ですね。bolt=ものすごい勢いで走り出す。thunderboltといえば稲妻。CNBCも、「これほどマーケティング的にすばらしい名前のアスリートは史上初では?」と。

それで思い出したのが、この間聞いた気の毒な苗字。

薬局で処方薬を買うときは、ピックアップするときに名前を言う必要があるのですが、中年の白人女性が売り場の人に苗字を聞かれて、

「えいち・おう・えい・あーる」

と。通常「Smith」などと、名前を言うものなのに、いきなりスペル。頭の中で「?」と一瞬考えて納得。hoar=ホア、という発音になるはずですが、同じ発音でwhore=売春婦。女性の蔑称としてよく使われる言葉でございます。

少し前にはMeet the Fockersという映画がありました。「fxxk」と非常に似た発音の苗字を持つ家族にまつわる話し。このときも微妙につづりは違うものの同じような苗字の家族が実在し「あんなふうにコメディ映画にされて不快。我が家ではこの名前に誇りを持っている」とか新聞のインタビューに答えてたのがありましたが。

Virginというのもありますな。昔日本の箱根駅伝にこの苗字の選手が来ていて、解説者はひとしきりこの話で盛り上がっておりました。この人も確かアメリカの選手だったような。

NPR(ラジオ局)の人気番組、Fresh Airを20年以上ホストしているのはTerry Grossですが、grossは「ひどい、気持ち悪い」という意味だったりもするし。

移民国家ゆえ、「元は普通の名前だったが、英語圏ではありえない意味になってしまう」ということも多いのかと思いますが、上の例はどれももともと英語って感じだし。

それに比べると、日本は苗字のバリエーションが豊富な割に、「これはまずいだろう」というのは少ないような気が。

オリンピックで、ビーチバレーの「シラトリ」さんを見ていたダンナ(英語しか話せない)が、

「この人、ゲームと同じ名前で気の毒だねぇ」

と。

???

結局「シリトリ」と混同していたことが判明。(シリトリ=ダンナが知る数少ない日本語の一つ)。シリトリはいやだな、やっぱり。でもそんな人はいないし。

由緒正しいのはありますよね。昔東京で働いていた頃、会社に鴨脚と書いてイチョウさん、という人がおりました。鴨の足跡はイチョウの葉のようだから、ということだそうで、京都の出身の方だとか。高校時代、同じく都内の学校の近くに街風という苗字の人が住んでいて、これはツムジさん。

ちなみに、私の「渡辺」はこちらではwannabe(ワナビー、ですな。=まねっこ)とか間違われることありますが。英語圏の人には、ワ・タ・ナ・ベという四音節は大変難しいらしい。なので、なんとか三音節に縮めてしまいたい、と。別バージョンではwantanbeというのも。wantonで「悪意に満ちた」てな意味アリ。wontonだったら食べ物のワンタン。wanton-be=wantonになりたい人という響き。

悪意もワンタンも、どちらにもなりたくないですが。

アメリカの気の毒な苗字」への27件のフィードバック

  1. 僕の同僚にMike Roach(ゴキブリ)というのがいて、最初はビビッたんですが、どうもRoachさんてよくいるみたいです。Googleで”Mike Roach”すると1万7千件ヒットするし。

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  2. アメリカはタイソン・ゲイとか、ディックとか、えっ!?って思う名前ありますよね。
    アフリカ系アメリカ人なのにMrWhiteとか、その逆もまた然り・・・。

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  3. 失礼ですが日本語だと御手洗さんというのはそんな感じですね。由緒正しい苗字ですが。

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  4. 「気の毒な人名」よりはインパクトは落ちるかもしれませんが、アメリカには「え?」と思うような地名も多いですよね。
    前号だったか『暮しの手帖』に翻訳家の岸本佐知子さんの書かれたエッセイが掲載されていて、
    「翻訳した短編小説に『絶叫町(イェルヴィル)』という地名が出てきて、まさか実在しないだろうと思いつつも調べてみたら実在した」
    というのを契機に他にも「信じられないような地名」を調べて挙げておられました。(ちなみにネブラスカ州には「ゴキブリ(ローチ)」という町があるそうです。)
    うちの近く(といっても高速で飛ばして何時間、という距離ですが)にはTruth or Consequencesという名前の町があります。(残念ながら上記のエッセイには入ってませんでしたが。)いつか本気で由来を調べてみたいものだと思っています。

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  5. NASCARレーサーに”Dick Trickle”と言う人がいますが、Trickle,Dickという表現にもなるんだよ!っとアメリカ人にも受けてました。

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  6. 苗字自体が変ってわけではないですが、姓名が揃うと可哀そうな意味になっちゃうこともあるんですね。アメリカ人の友達(おっさん)が、自分の知り合いのRichard Smallって人のことを話して大笑いしてました。最初は?でしたが、Richard = Dick なんですね。子供の頃ならいざ知らず、人生の後半に入っても笑われ続けるなんて、ちょっと同情してしまいます。親御さんは、どういう気持ちで命名したんだろうって疑問です。

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  7. 昔私がホンダにいた頃、大型バイク・レースでスズキのトップ・レーサーだったのが、イタリア人の「ウンチーニ」という人でした。いい男だったんですけどねー、スズキは何を思ってこの人と契約したんだろー?といつも不思議でした。

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  8. 変な名前も嫌ですが、有名人と同じも嫌ですよねー
    友達に名字がフセインさんがいますし(めちゃくちゃcommonな名字)、名前がOsamaくんもいます。
    友達の元カノは「和田アキ子さん」でした(生まれたときに、もうデビューしてたんじゃないかな?)

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  9. 私が見たかわいそうな意味合いの名前第一位は某百貨店でお中元の仕分けバイトをしていたときに伝票を見ておののいた「四方すゑ(世も末)」さんです。出来過ぎですが、ノンフィクションです。

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  10. 少し前のラグビー・ウェールズ代表に「ダイ・ヤング(Dai Young)」という人がいました。
    あと、ちょっと横にずれるんですが、オーストラリアにJamie Hildebrandtというバイクのオリンピック代表選手がいまして、「神風のように速く走りたい」ということで「カミカゼ」に名前を変えたそうです。が、つづりはKamakazi。
    うーん・・・

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  11. 初めまして。いつも興味深く読ませていただいてます。
    既にたくさんの方が色んな名字書かれてるので冗長かもしれませんが。。
    私が気の毒に思ったのはスウェーデンのアホさんでした。
    よりによって日本のマーケティング担当の方で、名刺にカタカナではっきりと。
    アメリカは色々な国のルーツを持つ人が一応単一言語(=英語)で暮らしているので、英語からすると違和感を感じる名字がたくさんあるかもしれませんね。

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  12. 1980年代の話ですが、最初にUCLA訪問したとき、ほとんど全ての建物に人の名前がついているのに、でかいのに人の名前のつけられてないビルが一つだけありました。で、入り口のポイラープレートを見てみたら、その建物もやはりある人を記念して建てられてたのですが、その人の名前が「Hugh G. Dick」さん。。。。
    そりゃー建物をそうは呼べないわ。

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  13. 私の苗字は井上ですが、米国滞在中、自己紹介すると、NO!とたまに言い返されたものです。
    僕  ”Kevin Inoue”
    相手 ”No, I don’t”
    僕  ”??”
    “Inoue”= “You know (it)”
    と聞こえることがあるらしいです。
    笑い話で、私の弟は雄策というのですが、
    弟 “Yusaku Inoue”
    相手 “What!! (怒り出す)”
    “Yusaku Inoue” = “You Suck, you know it”
    と聞こえることがあるらしく、
    弟は中学生のときに裁判所でFirst nameを
    Zacharyに改名しましたとさ、チャンチャン!

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  14. Grossさんはドイツ系ですね。grossは英語のbigの意です。反対は、Klein(smallの意)。片方は気持ち悪くなっちゃうなんて、ちょっと気の毒。

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  15. 小学生の時、立派な邸宅の『御手洗』という表札を見て、
    『おてあらい』だとおもってました。。

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  16. 私が聞いたのは竹下さんです。人前で名前を書き出すと笑われたり怒られたりするそうです。Takeshit(a)・・・・

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  17. 頭が英語状態だった時に、
    ドイツ語の国で、Fuchsさんという苗字にはっとしたことが、
    あれじゃなくって…キツネさんですね。
    Grossもそうですが、ドイツ系も北米じゃあ苗字に苦労していそうですね。

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  18. ある薬局で薬をくれた人は、”English”さん。(確か、苗字でした。)
    「おもしろいねー」と言ったら、「そう、でももっと面白いことに親戚の人には”French”さんがいるの。」
    #シリコンバレーで有名な日系の助産師(Dr.井上)は、Inouyeと綴っています。

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  19. ピンバック: 心に残るプチ変なこと:長い苗字 | On Off and Beyond

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