米国の脚本家のストが、そろそろ10週目に入ろうとしている。テレビ番組が再放送ばっかりになってしまった今日この頃。ゴールデングローブ賞の授賞式も、欠席者多数になるとの予想で中止になった。(一応記者会見形式で発表はされるようだが。)
で、このスト、最大の争点が「オンライン配信した動画コンテンツの利益の分け前」なのであった。時代を感じさせるではありませんか。
脚本家組合側は、「売上げの2.5%」を要求しているが、メディア側は「DVD同様、売上げの0.3%−0.36%。ユーザー課金しないストリーミングはゼロ」と主張しており、全く平行線。
そもそもこのDVDの脚本家取り分は1988年に22週間もストライキをして勝ち取ったものだったのだが、当時はまだまだ家庭用映像販売事業の規模が小さかったこともあって、低く設定しすぎた、とほぞを噛んだ模様。そこで今回は2.5%、と。
メディア側の主張は、「オンライン配信事業のビジネスモデルもわからないのに、とても割合は決められない」と。ユーザー課金なのか、広告モデルなのか、ストリーミングなのかダウンロードなのか、などなど、まだまだ全然何が起こるかわからない、と。これは確かに本当。
が、今のメディア側の意見を飲むと、将来広告でめちゃくちゃ儲かるストリーミングコンテンツが登場しても、脚本家の取り分はゼロになるかもしれないわけで、それは、受け入れられないですなぁ。
脚本がないとメディアはもちろん大変困る。1988年のストの時のメディアの損失は5億ドルと推定されている模様。
が、しかしメディア側は
「食い扶持がなくなってネを上げるのは脚本家の方」
と構え、長期戦になってます。
ちなみにこの脚本家組合、12000人ほどのメンバーがいるが、脚本作家として一定の収入を上げた、等の実績がないと入れないので、「ステータス」でもある。脚本家になりたい人は山のようにいる訳で。各種の「リアリティ番組」も、実は脚本家が台本を書いているが、リアリティ番組の脚本を各人たちも組合に入れるようになったのは、2005年からとのこと。
(この業界にいる知人曰く、
「でも、リアリティ番組の仕事をしたなんて、恥ずかしくて履歴書に書けないよ」
とのことでしたが。)
そのエリート脚本家が、歴史に残るストライキを決行してまで確保したいと思うほど、インターネット動画配信の未来が見えてきた、とも言えますな。
なお、今回のスト、当然のことながら、あまりアメリカのメディアでは報道されない。なので、ストが行われていることは誰でも知っているが、どんな論点で争っているかについては、注意深くフォローしている人しか知らなかったりする。まさに言論統制。
というわけで、ユーザージェネレーテッドなWikipediaとか、寄付で成り立っているNPR(ラジオ)などにはあれこれ情報があります。
Wikipedia:2007-2008 Writers Guild of America strike
NPR放送内容のうち、writers guild strikeでサーチした結果(ストリーミングで聞くことができます)
インターネット動画の配信利益を巡って脚本家がストを起こしているらしい
インターネット動画配信利益のために戦う脚本家組合(On Off and Beyond)
アメリカで「オンライン配信した動画コンテンツの利益の分け前」をどうするかという事を巡って脚本家がメディアを相手取ってストライキ活動を行なっているみたいです。
メディア側の立場としてはこれから動画配信コンテンツの収益がどうなるか分からないのでとても現段階では決められないとの事ですが、脚本家側も以前にDVD販売の収益の取り分を安く設定し過ぎた(売上の0.30〜0.36%)という反省から収益の2.5%…
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一般の視聴者にとってどうでもいいばかりか、迷惑だ、というのはボディブローのように脚本家側にダメージを与えていくような気がします。要求の内容はともかく、戦略とPRの点では脚本家側は努力が足りないのでは、と思います。本業(の一部)のはずなのに。悲しいけれどテレビ局が最後に勝利するのでは、と悲観的です。
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日本だと考えられないですね。組合さえない脚本家側に、政府やマスゴミと強く癒着しているカスラックが圧勝するのが目に見えてますから。でも同時に、すごく羨ましいです。
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BDと動画配信ビジネスについて
まず、動画配信ビジネスについて考えを整理しておく。 動画配信ビジネスは基本的にはDRMの強度と動画の品質、販売価格の3点を通して、ユーザとコンテンツプロバイダが妥協点を決定し利益を最適化するビジネスであると考えている。現状、このビジネスをどのように展開するか…
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何を揉めているのかと思って見ていたら、この解説でやっと分かりました。アメリカの報道の自主規制的な動きって(もしかしたら日本以上に)怖いですね。
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chikaです。
>戦略とPRの点では脚本家側は努力が足りない
うーん、でも戦う相手がメディアですからねー。。ラジオ番組でも、視聴者の人が
「一般人の我々に、何かできることはあるか?」
と聞いていましたが、脚本家の人は
「ない」
と。一部の人がテレビを見るのをやめたり、DVDを買うのをやめたりしても、大勢に影響が出るほどの動きになることはないので、どうにもならず。「戦い」あるのみ、って感じでしょうか。
それから、脚本家へのダメージも(スト中は収入がなくなって苦しいということ以外には)無いのでは?
「ストしてむかつくからもうドラマは見ない」
なんていう人はまずおらず、どうしたって脚本家は必要ですし。また、脚本家guildって「強制参加」で、全員参加らしいので。
>すごく羨ましい
こちらのコメント以外でも、
「(脚本家に限らず)海外ではストなんて本当にあるんだ。なんかいいなぁ。」
という類のことを書いている方がいて、私はちょっと「はっ」としました。
私が子供の頃は、日本でも毎年公共交通機関やら市役所やら区役所やらがストをするのは当たり前だったのでした。ま、といっても、せいぜい半日とか丸1日程度でしたが・・・。
「ストライキ」=電車が動かなくてみんなお休みになって家で遊べる日、という「楽しい連想」もわたしの中にはあるくらい。
もちろん、メディアという特殊な業界は電車やお役所とは別だと思いますが、なんとなく、
「誰かが困っても、相手が嫌がっても、戦わなければ勝ち取れないものがある。そしてその戦いは、勝てる可能性があるものである」
という感覚が日本の社会では希薄になってしまったのかなぁという気がします。
>報道の自主規制的
日本で電通の悪口言う(もしくは言える)人がいないのと一緒ですかね・・いえるのは、噂の真相、くらいかな?自分に都合の悪いことを、奥底まで分析するってあまりないですし。だからこそ、脚本家たちは鉄の結束の組合を作ったのでしょう。(一部離反者が出始めてはいますが・・それにしても。)
あと、NPR、PBSといった「視聴者からの寄付で成り立つメディア」がきちんと機能していることがアメリカの良心、でしょうか。
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>>報道の自主規制的
日本では関西ローカル番組が頑張ってますよ。
身内のことだろうが電通のことだろうがなんでも批評してます。
全国放送は癒着してるからだめですけどね。
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