死ぬほどある英語の動物名称:牛=cowではない、とか

英語には動物に関する言葉がものすごく沢山ある、というお話。

ちょっと英語ができるようになってくると、

「日本語には英語にない言葉がたくさんある。よって日本語は繊細な言語である」

ということを感じがちですが、これにはバイアスがかかってます。

「母国語であるところの日本語で自分が知っている言葉を英語に置き換えようとしたが、どんぴしゃの言葉が存在しない」

という体験が積み重なってこう思うわけですが、実は自分の知らない英語の言葉は沢山ある。知らない言葉を考えることは普通できないので、「自分が知らない英単語の数々」という全体像が掴みづらく、ゆえにそこを軽く見ちゃうという・・・。もちろん、領域によって日本語の方が単語量が圧倒的に多いものもあります。「味」とか「魚」とか。

しかし、たとえば動物、特に哺乳類に関しては、英語はものすごく豊富。というわけで、その一部をご紹介。「全く知らなくても生きていける無駄な英語知識」です。

  • cattle 総称して牛
  • bull オス(メリルリンチのロゴはbull)
  • cow メス
  • calf 子牛

cow=牛と習ったのは私だけでしょうか?でも、cowはメスだけ。変わったところではなーんと「鯨」のメスもcow。。。(ただし、「鯨の繁殖に関する話をしている」といったバックグランドなく突然「cow」といったら、普通の人は牛のメスを考えます)

哺乳類のメスは多くがcowです。同様に、多くの哺乳類のオスが「bull」と呼ばれます。よって、cow=メス、bull=オスは覚えておくと動物ドキュメンタリー番組を見るのに役立ちます。

鹿

  • deer 総称して鹿
  • buck/stag オス(種類によって使い分ける模様。Stag’s Leapという結構有名なナパのワイナリーもあります。)
  • doe メス (ドレミの歌の♪ドーはドーナツのド♪のところは、♪doe, a deer, a female deer♪です)
  • fawn 小鹿(calfということもある模様)

  • horse 総称して馬
  • stallion 去勢されていない大人のオス馬
  • mare 大人のメス馬
  • foal 1歳未満の馬(オス・メスとも)
  • (上記以外にもcoltとかいろいろある模様)
  • sorrel 赤馬(馬の場合、色で区別して呼ぶ方が多いらしく、色を表す名前が多々あります。)
  • equestrian 「馬の」という形容詞、または乗馬する人。ベイエリアの公園で「乗馬で通って良い道」はEquestrian Pathと書いてあります。関係ないけど、「犬の」はcanine、「猫の」はfeline。

  • sheep 総称して羊
  • ewe メス
  • ram オス
  • lamb 子羊

lambは従順、ramは勇猛、という大いなるイメージの違いアリ。Ramsというフットボールチームもありますな。LとRの聞き取りが難しい日本人からすると、なんだか弱弱しい気がしちゃうんですが。eweはクロスワードパズルに出がちな言葉。

群れ

  • herd 一番一般的。哺乳類の多くの群れがherd。「みんなで渡れば怖くない」的集団心理を「herd mentality」と言ったりします。
  • pack オオカミの群れ。犬も。血縁関係があるイメージ。
  • pod イルカの群れ
  • pride ライオンの群れ (なぜ「pride」なのか、ご存知の方がいたら教えてください。)
  • litter 一度に生まれた子犬たち。「群れ」じゃないですが。

子供系

  • cub 割合猛獣系の動物の子供(チータ、ピューマ、ライオン、熊など)
  • pup 割合かわいい系の動物の子供(犬、イルカ、アザラシなど)
    (ただし、子供をcub、pup両方で呼ぶことがある動物もいるので、かわいいか怖いかでは単純に分けられません。)
  • duckling アヒルの子。「醜いアヒルの子」はUgly Duckling。

細かく言い出すともっとありますが、割と耳にするものだけでもこんなにある、という例でした。とことん動物の名称を知りたい方は、Wikipedia-List of animal namesとか、Names of Animalsとか、いろいろありますので研究してみてください。

死ぬほどある英語の動物名称:牛=cowではない、とか」への11件のフィードバック

  1. 外国語が自国語よりも語彙や表現に乏しいと考えるのはどこの国の人も同じみたいです。昔、英語しか話さないアメリカ人の友達が「英語ほど表現が豊かな言葉は無いのではないか。」と勝手に断言していましたが、議論をしても始まらない話題なので、「そういう事は、外国語を一つでも覚えてから言ってほしいものだわ。」と当時は心の中でつぶやいていました。その友人はその後日本の漫画とアニメにはまり、日本語の表現の豊かさに目覚めたみたいです。

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  2. こんにちは。千賀さんのこのブログ、リサーチの途中に遭遇して以来、楽しく読ませて頂いています。
    動物の英語、ほんとうに豊富ですよね。私は、夫(アメリカ人)と映画について話している時に、「羊たちの沈黙」を「The Silence of Sheep」と言って、大笑いされたことがあります。それで「lamb」はしっかりと覚えたのですが、「ewe」と「ram」もあるのですね。手強い…。

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  3. 金田一春彦著「日本語」に、語彙も含めた全体的な日本語と外国語との比較がのっています。この本によると日本語に豊富な語彙は、色、自然、魚、心理感情、身分。逆に貧弱なのは、天体、鉱物、体、牧畜、獣肉関係、体の動きらしいです。

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  4. chikaです。
    >外国語が自国語よりも語彙や表現に乏しいと考えるのはどこの国の人も同じ
    ほほほ、私はこれを言語版「バカの壁」と呼んでいます。知らないものは見くびっちゃう、ってやつですよね。私も良く陥りがちなんですがw・・・。
    >「The Silence of Sheep」
    うちのダンナに言ったらやっぱり笑ってました。でもThe Silence of the Ramsはそこまでおかしくないらしい。なぜ~。Sheepはsheepishだからかな?
    >日本語に豊富な語彙は、
    「色」はもしかして「ニビ色」とかそういう昔の言葉を全部入れてるんじゃないですかねぇ・・。現代日本語でも多いのでしょうか。そういえば、「緑」と「青」を区別する言語と区別しない言語というのがあり、それぞれで、その言語を話す人の緑と青の認識力が異なる、というような研究結果を聞いたことがあります。
    ちなみに、Born to Kvetchかなにかに書いてありましたが、Yiddishには自然現象や動植物に関する語彙が少ないそうです。国を失って以降のユダヤ人が都市に偏った暮らしをしてきたから・・・・とのこと。Born to Kvetchについてはこちらをば↓
    http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/02/born_to_kvetch.html

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  5. > 「緑」と「青」を区別する言語と区別しない言語というのがあり
    そうそう、まさにベトナム語は「緑」と「青」の区別がありません。
    初めてそれを聞いたときはちょっと驚きでした。
    でも逆に、家族構成はベトナム語の方が豊富。
    例えば祖父、祖母などは母方、父方によって言い方が違います。
    それはベトナムでは家族をより重んじているからだと聞いたような。
    つまり、言語とは文化の1つなんですよね。

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  6. 和英辞典で、「皮肉」の項をアメリカ人に見せたら、「日本語だとこれが全部一つの単語?」といったきり絶句してました。

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  7. こういう話題って面白いですよね~ エスキモーが雪を表現する言葉は沢山あるけど、日本には数種類しかないとか。
    言葉って文化、習慣、風習全てに関わってできているもので生きているんだな~と思いますよね。
    私はその昔、寝ぼけて 牛を指して beef と言ってしまった事があります。肉かよ!まだ生きてるよ!みたいな

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  8. >「緑」と「青」を区別する言語と区別しない言語と
    日本語でも、例えば信号は「赤は止まれ、青は進め」というくらいに曖昧です。
    交通事故の際に「確かに青信号であることを確認した」を英語に直訳したために、
    「あの『緑』信号が青に見えるのか。おまえは色盲か?」と、話がこじれてしまったと
    いう話を聞いたことがあります。
    ところで、こんなニュースもありました。
    「タイ、実はティラピア=シカゴのすし店調査で判明-米紙」
    「もっとも、レッド・スナッパーとは本来、日本人が通常、すしや刺し身で食べるマダイとは異なるフエダイの仲間の名称で、すしネタのタイを「レッド・スナッパー」と呼ぶのは、いわば通称。また、マダイの本当の英語名はレッド・シー・ブリームだ。こうした事情も表示問題を複雑にしている。 」
    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070511-00000034-jij-int

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  9. chikaです。
    >牛を指して beef と言ってしまった事が
    ちょっと違う話ですけど、ワタクシスーパー(Trader Joes)でダンナに
    「Where is dried raisin?」
    と聞いてしまったことがあります。dried grapesがレーズンなわけで、raisinは既にドライやねん。オバサンがオババになり、さらに梅干ババァになる、といった進化か??
    ところがそこがうちのダンナがカメ星人たるゆえんで、1分くらい私と一緒にあちこち探した挙句に
    「By the way, what do you mean by dried raisins? Is it different from regular raisin?」
    ですと。あがー、最初に気づいてくれ、ダンナ、って感じでございました。
    >日本語でも、例えば信号は「赤は止まれ、青は進め」というくらいに曖昧
    そうですよね。「青々と茂る」「目に青葉 山ホトトギス 初鰹」とかいろいろ。でも緑だし。
    英語で私が不思議に思うのが、動物の色で、グレーをBlueということがあること。猫のRussian Blueとか。グレーに見えるんですが。。。
    >タイ、実はティラピア
    これはひどいなぁ。。。ティラピアって超安い魚なんですよね。。。

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  10. 外国(香港、上海、セブ等)で思うのは、その場所で繁栄している歴史ある(その場所固有の)文化に関する言葉は、外国語に翻訳するのはいつも難しいという事ですね。
    固有というからには、他の場所の人との共通基盤がないものですから、翻訳したとたんに、似て非なる別物になってしまうわけです。それで、沢山の言葉がひとつに集約されてしまったり、その逆になったりしますね。
    その典型が日本の「どうも」であったり、広東語の「ムコイ」であったりすのかと思います。
    英語の「sorry」も、英英辞典をみれば、いろいろなニュアンスがありますが、日本では「ごめんなさい」が一番認知された訳ですね。

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