ミーアキャットのペンギン化

この冬は「ペンギン」ブーム。2005年夏につらく悲しい南極大陸の皇帝ペンギン・ドキュメンタリー、March of the Penguinsが人気になり、その余波でクリスマスをターゲットにペンギン映画がいくつも登場、ペンギン君がタップダンスをするHappy Feetは大人気だった模様。

して、ペンギンの後釜候補が「ミーアキャット」なのである。「Meerkat Manor」というテレビ番組がマイナーながら地味にヒットしたお陰と推測されます。ちなみに、Meerkat Manor、日本でもミーアキャットの世界、というタイトルで放映してるようですね。

ミーアキャットの魅力は昼のメロドラマ顔負けのドロドロの人間関係・・じゃない、ミーアキャット関係です。

前もエントリーで書いたが、Meerkat Manorを魅入られるように見てしまった私。以前書いたものから抜粋すると

カラハリ砂漠に住むミーアキャットの生活を、ドラマ仕立てで追うドキュメンタリー。ケンブリッジ大学が過去10年間研究してきた一家の物語。全員名前がついていて、
「ああ、シェークスピア、死んでしまったのか?」
とか
「群れから追放されたかわいそうなトスカ」
とか感情移入して見てしまいます。10年分の知識の蓄積もあって面白い

というのが概要。して、その「面白い」ところがミーアキャットの社会の成り立ちとその厳しい掟であります。

Meerkat Manorの主役は、ケンブリッジ大学が10年間研究してきたWhiskersという群れ。Whiskersの暮らしから見るミーアキャットの社会は・・・・

  • 10-40匹位の群れで生活。群れの縄張りは数キロにおよび、そこには数百、数千の隠れ家がある。(数字は記憶に頼っているのでいい加減です。)
  • 砂漠の暮らしは集団でなければ生き残れない。凍える夜は縦横無尽に張り巡らされた穴の中で重なり合って暖を取る。夜の間に入り口には砂漠の砂が積もるので、朝一番に群れ全員で砂をかき出さないと埋もれてしまう。
  • エサ集めでも集団であることが重要。エサとなる昆虫は地面を深く掘らないと見つからないが、地面に頭を突っ込んで一心不乱に掘っている間は注意がおろそかになる。ここで天敵の鷹やフクロウに襲われたらひとたまりもない。そこで、みんなが穴掘りをしている間、一匹が見張りに立つ。(これがおなじみの二本足ポーズ)。見張りは天敵が近づいてきたら大きな声で注意を喚起、群れは一斉に近くの隠れ家に逃げる。でないと食べられてしまう。
  • 乾季のエサ事情は厳しいこともあり、縄張りを接する他の群れとの戦いは激しい。全面戦争で殺しあうこともあれば、相手の群れがエサ探しに行っている間に住家の穴に乱入、まだエサを探しにいけないような生まれたばかりのベビーを見つけると引きずり出して殺す。

こういう、厳しい環境では、集団社会の掟も厳しい。

  • リーダーは、群れの中で唯一子供を生む権利を持つメス。そのメスとH権を持つオスは、これまた一匹のみ。このオスがサブリーダー。それ以外は、基本的にこのツガイの子孫。
  • Whiskersのリーダー、Flowerのパートナーは元々はYoussarianだった。しかし、その後Youssarianの兄弟のZaphodがパートナーになる。(うぉぉ、昼メロだ。)しかし、大事な妻を取られてしまったYoussarianも群れに残っており、FlowerとZaphodの子供の子守などしている。
  • FlowerとZaphod以外のペアが子作りをすることはない。
    (なぜないのかは不明。常に群れ全員にZaphodが「匂い付け」をしているので、同じ匂いのペアでは交尾しない、とかではないかと疑っているのですが。同じ匂いがすると発情しない、という仕組みとか???うう、もっと知りたい)
  • リーダー以外のメスも、時々よその群れのオスと、リーダーの目を盗んで隠れデート。結果として妊娠することもある。
  • リーダー以外のメスが妊娠すると、群れを追放されることが多い。ところが時々なぜか許されて子供を生む。ここで、リーダーが生まれた子供を全員殺してしまうこともある。(つまり、孫殺し。)しかし、そのまま群れでちゃんと育てることもある。
  • 一方、リーダー以外のメスが妊娠中に、リーダーに子供が生まれると、妊娠中のメスがリーダーの子供を皆殺しにすることもある。(つまり、兄弟殺し)。リーダーの子供がいなくなれば、自分の子供が殺される確率が下がるから、らしい。(しかし、子供を殺されたリーダーとの関係がどうなるかは不明。)
  • オスがサブリーダーになるには、他の群れのリーダー・メスとHをし、そのままその群れに居つく、というのが一番王道、らしい。しかし、「他の群れ」は常に相互殺戮を繰り返す敵なので命がけ。
  • 群れを追放されたメスと、単独行動中のオスがたまたま出会えば一夜の関係となることも。しかし、次の日オスはメスを置いて出て行ってしまう。一人ぼっちのメスと暮らしても生き残れないから。オスは、他の群れのリーダー・メス狙い、という高望み一筋。

「らしい」とか「知りたい」というのは、私がテレビを見た範囲ではわからなかったこと。もっと深く知りたい、とミーアキャットの生態を書いた本を探しているが、見つからない。ご存知の方がいたら教えてください。

というわけで、
「人間社会ならではの入り組んだ関係」
だと思ってきたことが、なーんと小さなミーアキャットの世界で起こる。シェークスピアも顔負けではありませんか。。さらに「いじめ」の起源を髣髴とさせる事件も番組では起こるのだが、続きはまたの機会に・・・。

ミーアキャットのペンギン化」への3件のフィードバック

  1. ご無沙汰しております。
    ミーアキャットの番組、私もはまりました。今再放送してますね。 さて、実は私も、ミーアキャットはリーダー格のオスとメスしか子供を作らないのを不思議に思っておりました。 調べたところによると、リーダー格のメスが、仲間のメスをストレスにさらし、ホルモンを狂わせるため、仲間のメスは発情・妊娠しにくくなるようです。自分の子が競争することなく、きちんと生まれて育つため、他のメスを攻撃したり、追放したり、時には別のメスの赤ちゃんを殺したりも、ということみたいです。    

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  2. なるほど!ストレスですか!!!
    とすると、人間界の「姑の嫁いびり」ってのは、子孫繁栄に反する行為?人間はミーアキャットとは別か・・・・。

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  3. [道具][es w-zero3] esでスカパーそして脇道

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