日本でしか買えないもの

アメリカになくて日本にあるもの。それは、無臭の防虫剤、冷蔵庫の防臭剤、質の良いヘアワックスである。

1.無臭の防虫剤

アメリカには、昔懐かしナフタリン(だか樟脳だか・・ちなみにこの二つ違うもんなんですね。鑑別法はこちら)しかないのだ。じゃないと、ヒノキの切れ端みたいなものやラベンダーを乾かして袋に詰めた、というナチュラルだけどあんまり効かなそうなものしかない。

私が住んでいるところには、「蛾」がたくさんいて、家の中でびしびしと卵を産む。卵が孵ると、幼虫が周囲にあるものをワシワシと食べる。去年、セーターを着ようとしたら、複数枚が蛾に食われて穴がぽつぽつ。しかもムカーシ無理して買った高いものだけ。

「ああっ、だから、蛾(モス)がなくなる防虫剤で『モスノー』っていうんだ」
と納得。

その後、防虫剤を探し回ったのだが、くさいナフタリンと効かなそうな自然系しかない。「なかなか探せない生活お役立ち商品専門」と銘打ったメールオーダーとかいろいろ見たのだが。しかたないので、引き出しやらクローゼットやらにこれでもかとばかりラベンダーの袋を並べた。吸血鬼を恐れる乙女が家中にニンニクを数珠繋ぎにして配置するような感じ。でも、なんかダメそう。

で、日本人の人に聞いたら

「あら、私は防虫剤は日本でまとめ買いするわよ」

・・・そうか、そうだったのか。というわけで、今回は「ムシューダ」を買い込みました。

2.冷蔵庫の防臭剤

いわゆる「キムコ」とかああいうやつです。ないんだな、これが。ま、冷蔵庫そんなに臭くないからいいんだけど、どうもアメリカ的にはせいぜい「ベーキングパウダーベーキングソーダ」のふたを開けて箱ごと冷蔵庫に入れる、くらいしか処方がないらしい。スーパーで売っているベーキングソーダの箱には、冷蔵庫に防臭剤として入れる方法が明記してあり、ふたの開け方も、防臭剤として利用するのに最適化されている。どうも、アメリカではベーキングソーダの主たる用途は料理ではなく防臭剤のようだ。

この間、アメリカのオレンジページ的雑誌を読んでいたら「冷蔵庫の消臭には、猫トイレの粒粒を入れるのが効く」と書いてあった。確かに猫トイレは最近とってもハイテクで、匂いを水分ごと一瞬で固める、といった高機能が当たり前。色も白など清潔そう。

しかし、猫トイレ粒を入れないとならないってことは、やっぱり「キムコ」ないんですね。っていうか、猫トイレ粒メーカーが、パッケージを変えてマーケティングすればいいのに。そういう小技ができないのがアメリカらしい。

これは、まぁ日本でわざわざ買って帰るほどのニーズは私は感じないのだが、アメリカに住み始めたころ結構探したのでした。

  • 後日追加:コメントでいただいたとおり、ベーキングパウダーじゃなくってベーキングソーダでした。すまぬ。「だいだい色のパッケージに力こぶの盛り上がった腕のイラストがかいてある」という商品を想定して書いています。アメリカのスーパーに行くとどこでもある・・と思います。

3.質の良いヘアワックス

昔通っていた美容師(白人)に、

「Chika、日本に行ったらワックス買ってきて~」

と言われた。「どこのメーカーのなんてブランド?」と聞いたところ

「なんでもいいの。とにかく何でもほしい」

なんのこっちゃと思ったが、実際彼は、別の客に買ってきてもらったという日本のヘアワックスを後生大事に持っており、ものすごい大事そうにちょっとだけつけてくれたりしてた。しっとりするとか、つやつやするとか、軽いウェーブを保つとか、そういう微妙な用途別、しかも本当にそのとおりの効能がある、というのが日本のワックスのすごさとのこと。

今は日本人の美容師であるショージさんに切ってもらっているのだが、ショージさんがいる美容院はBambooBumble & Bumble(注)というブランドのヘアケア製品を使っており、そのラインナップには「Sumo Wax」という商品がある。

「Sumo?相撲取りのSumo?なんすか、これ?」

と聞いたところ、ショージさんいわく

「ああ、これねぇ。日本のヘアワックスがあまりに高品質なんで、このメーカーがわざわざ日本まで研究しに行って、『日本のワックスが良いのは、伝統的に相撲の鬢油があり、その技術が引き継がれているからである』っていう、なんか間違った結論に達して、そのハイレベルの技術を踏襲したという意味でSumo Waxと命名したんですよね。」

そうなのか。「で、日本のどんなヘアワックスがいいんですか?」と聞くと

「もうなんでも。100円ショップとかで売ってるのとかでもすごい。」

そうか、そうなのか。というわけで、ホテルの隣にある薬局で「ルシード エル パールメイクワックス」300円なり、というのを買ってみた。確かになんかベタベタしないのにツヤツヤでよいかも・・・と思うが、暗示効果のような気もする。

  • 後日追加の注:最初、ショージさんとこで使ってるヘアケア製品屋の名前をBambooと書いたが、正しくはBumble & Bumbleであった。子音しかあってないし。同社では、Sumo Wax以外に、Sumo Techというワックス上の製品もあるのを発見。日本人的には、つけただけで「ドスコイ」と言ってしまいそうなとんでもないネーミングだが、きっとアメリカのサロンでは

    「日本のワックスは古来からすばらしく、それはなぜなら相撲取りが激しく動いても崩れない髷を結うための技術が発達したからで、うんぬんかんぬん」

    とか、もったいぶって客に効能書きを説明してるんでしょう。(か?)

***

というわけで、日本だと簡単に手に入るのに、アメリカにないもの3点でした。今から京都に行ってきます。

日本でしか買えないもの」への14件のフィードバック

  1. 京都いいですねー(^^)
    しかし、その3点セットは全て日系スーパーでゲット可能じゃん?
    (中華系、韓国系でもおk)
    って突っ込む僕はかわいげがないですかね・・・
    この前、親が持ってきてくれた美味しい「サンマの塩漬け」や「干物」
    がこちらでは入手困難な気がします
    何でもヤンキースの松井パパのお土産がそんなんだったらしいっすよ
    日本の美味しいものって結構貴重かと

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  2. いつも楽しく読ませていただいてます。
    日本でしか買えないもの、日常生活用品という範疇で今私が思いつくのは、1)肌触りなめらかな化粧パフ。これはもちろんこちらにありますが、たいていコットンが顔に残ってしまう自然派過ぎるものが主流で、何しに顔を洗ったのかわからなくなるときがあります。2)クール効果と白目効果の高い目薬。こちらに出回っている目薬は妙にパンチにかける奴が多いといつも思います。防臭剤、確かに日本でしか買えないですねー。ヘッドの小さい歯ブラシ、オイルメーク落としなど、日本には安価でいてよく働いてくれる品が多いなーといつも思います。
    京都楽しんできてください♪

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  3. 一度イスラエルに嫁いだ人に頼まれて納豆を買っていったのですが、そんなときに限って荷物がロンドンでトランジットされず1週間遅れで到着しました。トランク内が凄い匂いになっていた。それでも食べられたらしいのがすごいけど。笑

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  4. はてなブックマークから飛んできました。
    今、たまたま出張でスコットランドに来ていますが、
    – 4色ボールペン+シャーペンのマルチボールペン
    – ザウルス(うちが技術系の会社だからだと思いますが)
    あたりに驚かれます。
    あと、PCで日本語入力していると「どうやってるんだ?」と聞かれます。

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  5. コーヒーを抽出した後のコーヒー豆のカスを乾かせば、防臭剤として使えるというのがあったようななかったような。私は日本に住んでるけれど防臭剤は使ってないので、よく分かりません。

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  6. 昔、山根一眞氏のコラムで、筆ペンをまとめ買いして持って行くと喜ばれる(海外にはこう言うものが無いから)という話を読んだ覚えがありますが、ホントなのでしょうか?(まだ試したことは無い)

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  7. LAに住んでいるので、特に不自由はしていないのですが、日本の目薬など、アメリカでは処方箋がないと買えないようものをいつも買ってきます。お土産にするのは、たいていデパ地下の贈答用の煎餅やお菓子ですが、たまに頼まれて駄菓子も。 
    話が少しずれますが、ベーキングパウダーはベーキングソーダに混ぜ物をした物で、料理にはどちらも使いますが、消臭目的ではパウダーよりソーダの方を使うことが多いですね~。 

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  8. 昔アメリカにいたころ、ホームリーブ時に買って帰ったものに、小さいサランラップがありました。お茶碗サイズにぴったりで便利だったです。タニタの1g単位計量可のデジタルスケールも感動されました。アメリカ単位は大雑把だから…。

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  9. こんちわです
    そのsumotechを愛用してます(笑)
    sumotech
    # もちろんそのショージさんのところで買ったものです
    ところで出版記念パーティーって、こっちでは無いんでしょうか?

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  10. > 2.冷蔵庫の防臭剤
    アメリカ人には臭わないんじゃないですかね。石鹸とか洗剤とか強烈な匂いのやつが多いですが、あれぐらいでないと彼らには嗅ぎ分けられないのではないかと。舌の感度もかなり違いますしね。逆に、日本人の鼻が敏感すぎ(気にしすぎ)るってことかも。どっちが幸せなんでしょうね?

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  11. 「撮影&サイン会(?!)」に参加でき、感激。
    今日は素敵な会場で、楽しいお話、おいしいお酒におつまみ、ごちそうさまでした。
    祝賀パーティなのに、もてなされて帰ってきちゃいました。。。
    そうでしたか、ヘアワックスですかぁ…。
    うーん、日本でもなかなか見つけにくい、マイナーながら
    優れものの商品があったのですが。
    固形状になっていて、蓋をとったらそのまま逆さに撫で付けられるシロモノが。
    残念っ。
    次回、「(続)ヒューマン2.0/ヒューマン3.0 記念パーティ」の時にご用意いたします~
    P.S.chikaさんの視野の広さにはいつも驚きでしたが、
    実際にお会いしてそのつぶらな瞳に妙に納得!

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  12. chikaです。
    >その3点セットは全て日系スーパーでゲット可能じゃん?
    フフフ・・・甘い。甘いです。無臭の防虫剤は季節モノらしく、特定期間しか置いてないですよ。ワックスは品数限定でありますけど。
    >肌触りなめらかな化粧パフ
    >目薬
    >プラスチック消しゴム、マルチボールペン、筆ペン等文具
    >小さいサランラップ
    >耳かき
    全てないですね。確かに。
    ラップに関しては、アメリカの市販品の殆どがくっつかないという欠陥製品。アメリカ人はあんまりラップ使わないんですよね。品質が悪いからだと思いますが。代わりにアルミホイルを使ってるのをよく見かけます。
    耳かきは、実はその影に「白人は耳垢がワックス状な人が多い」という大きな問題が。確か日本の大学の先生が「耳垢がカサカサかワックス状かを決定する遺伝子」を発見した、というニュースも聞いたことがあります。で、そのワックス状の人たちは、そもそも耳かきで耳掃除をするのが大変であるのに加え、一般的にアメリカでは耳にモノを突っ込むのは危ない、とされているのでした。綿棒すらNG。アメリカの補聴器故障の最大の原因が「耳垢が詰まる」というものだそうです。ちなみに、耳垢はear waxといいます。そのままだ。
    >蓋をとったらそのまま逆さに撫で付けられるシロモノ
    楽しみにしてます~。
    >出版記念パーティー
    日本ので力尽きた感はありますが、シリコンバレー版もがんばらねば・・。でも、今日紀伊国屋に行ったら売ってませんでした。紀伊国屋に入ったらやろうかな。

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