昨日は、ウレシ恥ずかし納税申告締切日であった。ということで、最近私がIRS(国の納税局)とのやり取りで学んだことです。
それは「長いものには巻かれない」ということ。たとえ相手が警察、裁判所でも、いわんや税務署でも。
そもそも、会社の税金は毎月こまめに納める義務がある。で、去年12月分のうち12月末までに払い込まないといけないものがあったのだが、うっかり5日ほど遅れてしまった。(年末で事務方との連絡不届き)
そしたら、しばらくして「滞納の罰金通知」が来た。なんと2500ドルくらいあった。30万円じゃ。うーむ。厳しいのぉと思ったが、まぁ遅れたのは自分の責任なので払った。
しかしこれをアメリカ人に
「かくかくしかじかで払った」
と言ったら、みな軒並み
「えー、うそ!本当に?私(僕)だったらIRSに手紙を書いて抗議する。きっとチャラになるよ」
マジか。でもルールはルールなんじゃないのか。それに、どういう手紙を誰に書いたらよいか探すのも面倒くさい。人に頼むもの面倒くさい。なので、そのままになり、しばらくしたらさらに滞納の手紙が来た。払い込みと行き違いになったようなので、一応罰金の支払いが届いたか確認するべくIRSに電話した。
出たおじさんに説明したら、
「Wow、その罰金って、たいした額だと思わない?」
(That’s a lot of money, don’t you think?)
「・・うーん、確かに結構な額です」
と答えると、「それは、かくかくしかじかという手紙をIRSのこの部門に書きなさい。保証はできないけど、せめて減額はしてくれるんじゃないかなぁ」
ですと。
うーむ。IRSのカスタマーサポートにも驚かれてしまった。まじめに支払った私はバカなんですね。っていうか、アメリカ人的には
「ルールは人のためにあるのであり、人がルールのためにあるんじゃないんだから、事情を説明すればいのに。それもせずただ単に支払うなんて変な人だ」
と言うことみたい。
***
不法移民の人権を守るデモで不法移民について「でもなぁ、やっぱり、不法なんでしょ、それってよくないんじゃないの、と、私の中の律儀な日本人はささやく」と書いたところ、アメリカ育ち、シリコンバレー在住のYukiさんからこのようなコメントをいただいた。
私が行った小・中・高では"Just because it’s the law doesn’t make it
right."ということを生徒に叩き込んでいました。それこそアメリカの民主主義の大前提になる思想、という感じでです。歴史のクラスの一大テーマはア
メリカの憲法や法律の時代に伴う変化とか、州による法律の違いです。中学生には「アラバマ物語」やケネディー大統領が書いたProfiles in
Courage、高校生にはオーウェルを必ず読まさせますが、その教訓は「お上の言う事を鵜呑みにしないで、自分で考えよう」です。
さらにYukiさんからは
もう何年もブログを愛読させていただき、Chikaさんの「とにかく物事は批判的に考える」というスタンスにいつも共感していますが、日本でお育ちになったChikaさんとアメリカで育った私とでは「やっぱり違うところもあるんだな。」ということに時々気がつきます。
いやー、私も、「アメリカで育った人たちと、日本で育った私の違い」を久しぶりに強く感じました。本件はまさにそれ。「長いものには巻かれない」ですね。いや、勉強になります。。。
余談ですが、警察や裁判所という長いものにも巻かれてはいけません。
以前謝らない人たちというエントリー(←自分で言うのもなんだが面白い)に書きましたが、スピード違反の際の警察からの通知が間違っており、さらにカリフォルニア州の裁判所からもらった通知には、Californiaのスペルが間違っておりました。(下記)Tiffanyも間違ってたし。何事も鵜呑みにしてはいけないんですね。
初めまして!いつも更新を楽しみにしてます。私が通っていた高校にはアメリカ人の先生がいたのですが、その先生に「新聞やテレビの言うことを鵜呑みにしてはいけません。いつも自分で考えなさい」と言われたことが、今でも強く印象に残っています。今はフランスで暮らしていますが、フランス人も「法(及び、あらゆる「長いもの」)は人間のためにあるもので、人間がそのためにいるのではない」という態度が徹底していますね。批判精神を持つこと自体は大切だし、また、私もChikaさんのように、フランスで、理不尽な罰金を軽減してもらったこともあるので(税務署が手紙を書けとアドバイスしてくれた)、一種の融通としての「長いものには巻かれない」はわかるんですが、行く先々で、ごくささいなことにまで「私の権利、権利、権利」と主張する態度が染みついた人たちに出会うと、日本育ちの私は、時々、あー疲れたなあ、「私の権利」より大事なものって、場合によってはあるんじゃないかなあ、と思ったりします。
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英米流 equity という考え方
「ルールは人のためにあるのであり、人がルールのためにあるんじゃないんだから、事情を説明すればいのに。それもせずただ単に支払うなんて変な人だ」(On Off and Beyond: 長いものに巻かれ……
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安心安心
On Off and Beyond: 長いものに巻かれない
「滞納の罰金通知」が来た。なんと2500ドルくらいあった。30万円じゃ。うーむ。厳しいのぉと思ったが、まぁ遅れたのは自分の責任なので払った。
しかしこれをアメリカ人に
「かくかくしかじかで払った」
と言ったら、みな軒並み
「えー、うそ!本当に?私(僕)だったらIRSに手紙を書いて抗議する。きっとチャラになるよ」
マジか。でもルールはルールなんじゃないのか。
ちょっとゴネたら払わなくてよくなるのか…
ま…
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楽しく読ませていただきました。
長いものに巻かれない・・・日本以外で暮らす時大変重要かもしれません(笑)
今は日本にいますが、中・高校とアメリカCAで過ごしました。卒業式をひかえ日本に帰国する1週間前という時、ドライブ中にSTOPサインで一旦停止しなかったことで、警察につかまりチケットを切られそうになりました。
でも、
あと1週間で日本に帰る。卒業式ももうすぐ。
この地元の高校に通っていた。アメリカの高校は素晴らしい。
一旦停止はわざとじゃない、止まったつもりだった。
すぐ停車せず警察に追いかけられたのも、私は追いかけられていることに全然気づかず、逃げたわけじゃない。
などなど、説明したら、
「OK, I will give you Warning this time」と言われ、注意だけで済んだのでした。
長いものには巻かれなかった当時の私でした。はは。
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こんにちは。
お話を聞いて、あぁ、アメリカはいい国だなぁと本当に思いますね。
日本では相変わらず長い物には巻かれろでして、既得権を持つ者が暗黙の内にルールと言う名の権力を行使できる世界です。
ルールがどのような場でも、いつでも民主的に決まるという事はありません。
ルールは強者の為にある面が少なからずあり、弱者は、いつの間にか都合よく変えられたルールに、いつも追いつかねばなりません。
あぁ、もちろん、政治的な話では無いのですけれども、内側からはどうにもならない(米国企業などの更なる進出)のか、どうにかなるには、日本人が米国人になりきるしかなさそうに思ったりする今日この頃です。
とてもじゃないですけれども、生きていくためには、たとえそれが不条理な事であっても、日本では長い物には巻かれなければ難しいのが悲しいですね。
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ルールの意味
「アメリカ人的」ということですが、欧・中・アラブではどうなんでしょうか?
On Off and Beyond: 長いものに巻かれないアメリカ人的には
「ルールは人のためにあるのであり、人がルールのためにあるんじゃないんだから、事情を説明すればいのに。それもせずただ単に支…….
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Kanac-san,
>時々、あー疲れたなあ、「私の権利」より大事なものって、場合によってはあるんじゃないかなあ、と思ったりします。
そうですねー。。。一方で、ある程度のレベルの人たちは、権利と義務はワンセット、権利を主張するにはまず自分のやるべきことを果たす、というのがしっかりしてるので、その辺はやりやすいなぁと言う気もしますが。。。フランス人は大変かも 😉
kima-san,
えらい・・・アメリカのおまわりさんはあんまり許してはくれないですもんね。交渉勝ちですね。
nazoodle-san,
みんなが裁量、裁量の世界は、一方でまだ全てがいい加減な場所でもあります。日本人の中には、アメリカの日常で普通に生きていくことの大変さに辟易してる方も多い模様。やはり何事もゼロサム、一長一短、でしょうか。。。
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長いものに巻かれて生きていかなければならない日本社会は誰が作ったのか、、、本当に日本の将来を考えるのであればいいものはどんどん取り入れていく、長いものには巻かれない勇気が今こそ日本人一人ひとりに必要だと強く感じます。
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