エンジニアは神様です

昨日ひとつ書き忘れた。「シリコンバレーでは、ソフトウェア産業従事者の給料が一番高い」ということである。

同じ話題でやたらと引っ張って申し訳ないのだが、私は
「人間が責任を持って生きていく上で、金を稼ぐというのは非常に重要だ」
というポリシーを持っているので書きます。
下のグラフがシリコンバレーの産業別平均年収です。クリックで拡大。
Silicon_valley_wage_by_industry

金融サービスは上から5番目で10万ドル弱。ソフトウェアは14万ドル超だ。
出典は昨日と同じくJoint Venture Silicon Valley NetworkのThe Index of Silicon Valley 2006

当地で、

「わたし、テクノロジーと関係ない仕事してるから給料少なくて生活つらいんですけど」

というのがよく聞かれる所以である。

今日とある事情でとあるエンジニアの採用面接に付き合ったのだが、相当ファンキーな人であった。30分以上遅れて登場した候補者は、ペンもノートも持たず完全なる手ぶら、そして腹だしセーターにジーンズにブーツの女子だった。でも、話しはじめたら、能力としてはかなりすごそう。

エンジニアじゃなかったら、こういう、人を人とも思わぬ振る舞いは許されない。しかしシリコンバレーではエンジニアは神様なのでなんでもありである。AdobeとかAppleには女装でスカートはいてる男性のエンジニアとかいるし。(彼らは面接の日もあの格好だったのかなぁ?)

というわけで、

「日本を含む他の地域との単純給料比較は無意味かもしれないが、シリコンバレーでエンジニアが尊ばれているのは本当だよ」

という話でした。

エンジニアは神様です」への27件のフィードバック

  1. この間、弊社のMiningセクターのアナリストと話していたら、
    「最近は優秀な理系学生はみんなGoogleとかシリコンバレーでエンジニアとして働きたがって、誰も地質学者になろうとしない。これも鉱山がちっとも発見できない一つの理由だ」っていってました。
    まあ、確かにヘルメットかぶって埃まみれで働くよりも瀟洒なオフィスでスケボーとか乗ったりビリヤードしたりしながら(妄想?)働きたいですからね。
    > 「人間が責任を持って生きていく上で、金を稼ぐというのは非常に重要だ」
    激しく共感します。
    僕のポリシーも、
    『お金はガソリン。それ以上でもそれ以下でもないけど、それがないと車は動かない。』
    です。

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  2. 日本ではPG,SEといえば、一昔前の3K職種のように嫌われ始めているというのに・・別世界ですね。しかし、女装男性エンジニアですか・・・絶句・・・・・・

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  3. 女装ではないんですが、常にキルト姿のスコットランド人エンジニアはいっぱい(?)会ったことあります。
    日本人が着物で仕事してるみたいなもんでしょうか。そう考えるとそんなにファンキーなことでもなさそうだけど、日本の会社じゃ出来そうもないのも確かです。

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  4. 日本だとソフトウエア産業従事者、特に技術者の給与は下から数えた方が早いでしょうね。「わたし、IT関係の仕事してるから、給料少なくて生活つらいんですけど」が日本の常識。シリコンバレーが米国内においても別格だとしても、日本とはえらい違いです。
    金がガソリン云々以前に、日本だとほとんど生活できません。給料少ない、拘束時間は長い、安定性は低く、将来性もない。体を壊したり心が病んだりするリスクも高い。結婚も家庭をもつことも、とっくの昔に諦めました。せめて死因は過労死や自殺じゃなく、癌や老衰で死にたいものです。
    私は技術者ですからヘルメット被って油や埃まみれで、危険と隣り合わせで働くことには全く抵抗ありません。プロならば生涯勉強し技術を磨き続けるのも当然でしょう。にもかかわらず、会議室で椅子に座って書類を読み上げているだけの管理職より給料低ければ、一体誰が技術者を目指そうとするでしょうかね。

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  5. これで「よし!俺もシリコンバレーで!」と思ったエンジニアはどうすりゃいいんでしょうかね。
    外資系だとしてもHQに移籍するのは簡単ではないし,日本の会社ならなおさら難しいでしょうから。
    とは言え,丸裸で就職活動してもビザを持ってない日本人は採用されるんでしょうか。

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  6. 厳しいことをいえば、自分達の職業のことをPG,SEなどと呼んでいたらダメかなー、という気がしますね。それは蔑称でしょう。一山いくらの人で客先に派遣される人を指す言葉。
    日本だってこないだのYAPCにはハッピーなエンジニアがあふれていましたよ。あのへんのひとは引く手あまたでしょう。利益をあげてる会社だったらいくらだしてもほしいでしょうね。
    日本だとちょっと解雇しにくいので、会社が下向きになったときを考えると、あまり高値で雇うのは難しいかもしれませんが。そういうときこそフリーランスですね。

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  7. SEって蔑称だったのか・・・!
    金を稼いでいる人だけが優秀なわけではないけれども、優秀でなければ稼げないというのは健全な業界だと思う。

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  8. [転職]続・日米比較

    http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/04/post_7.html 「日本を含む他の地域との単純給料比較は無意味かもしれないが、シリコンバレーでエンジニアが尊ばれているのは本当だよ」 シリコンバレーだと:技術者 = 管理職 日本だと: 管理職or営業 技術者 給与の単純比較は無意味だけど,実質購買力込みの生活水準で比較したら,雲泥の差だろうね.時給換算すると比較するのも馬鹿らしい. …

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  9. うーん、SEは微妙かも、でもPGはかなりやばい。プログラマーって言いましょうよ。

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  10. ビザは確かにハードルです。建前上、米国内では見出せないような人材であることを証明しなければなりませんから。ただ、越えられないハードルではないと思います。Chikaさんの一連のエントリで示されるように、こちらの求人は非常にspecificなので、それにうまくはまれば大抵の会社はビザサポートを厭わないと思います。10万ドル/年 払ってでも欲しいって人には、数10万ドル/年 の価値を生み出すことを期待しているわけで、数千ドルのビザ費用をけちっても仕方ないでしょう。(ただ、急ぎの求人の場合 (これが結構多い) ではビザが下りるのを待てないという理由でだめになることはあります。)
    私の見聞きした範囲で多いのは個人的な紹介です。要求にぴったり「はまる」人というのはどこでも人手不足で、一般募集のチャネルで合致する人を見つけられる確率は低いので、業界内に「こんな人いたら教えて」と声をかけてまわっている場合も多いです。
    伝手が無い場合にどうやって作るかですが、こういう紹介というのは「プライベートな付き合いのある友人」という話ではなく、「カンファレンスで何回か話しただけだけど、彼はあのプロジェクトでこういう役割を果たしたそうだ」程度にでも知ってもらえていることが役に立ったりするので、自分のやってきた仕事が業界内で広く知られることが重要だと思います。おもしろい仕事をしてカンファレンスで喋ったりすることでもそういうつてはひろがるでしょう。(カンファレンスではジョブフェアも開催されていたり、展示会の企業ブースでリクルーティングをやっていたりもするので、そっちでも機会はありますし)。
    また、フリーランスだとかプロジェクト単位で仕事を渡り歩いたりして、色々な人とチームを組んで仕事をしてきた人だと声がかかりやすいかもしれません。結局、一緒に仕事をすることでしか人の能力ってわからないので。

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  11. シリコンバレーで働くには、今だったらボコボコ求人があるので、それに応募しては?いろいろな会社のサイトに求人(Jobsとか)コーナーありますよ。あと、Monster.comとか。Craigslistも結構あるし。
    後は、米国の大学院に留学してそのまま就職するっていう手があります。
    あ、あと、私、別にトランスジェンダーの方に偏見はないです・・が、「トランスジェンダーの人がいた」と書いてもわかんないだろーナーと思ったこともあり、「女装でスカートの男性」と書きました~。
    しかし、トランスジェンダーって女性の場合傍目からわかんなさそうですね。「Tシャツにジーンズの女性」って普通だもんなぁ。

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  12. 香港、中国、フィリピンでソフト開発してます。日本のソフト技術者に会う機会はしばしばありますが、当地のエンジニアに比べて劣っているとは思いません。ただ、日本以外で働く気持ちがあるなら、せめて英語でメール書けて、会議でみんなと話せる程度の英語力は必要かなと思います。会話は、ご当地で3月も武者修行すればけっこう上達するでしょうが、読み書きは、日頃から英語圏のブログやメーリングリストにコメントや返事を書くなどして、地力をつけとく必要があるかと思います。
    ちなみに、優秀なフィリピン人プログラマの多くは、米国での仕事を探して現地就職してるようです。言葉の面を除けば、フィリピン人より日本人の方が、国力のせいで、かなり就業ビザを取りやすいと思われますが如何でしょうか。
    要は、本人のやる気と、実現させる為の努力だけの問題ではないでしょうか。

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  13. 上でshiroさんが書いてることに付け加えたいのは、OSS開発などに参加するのもいいプロモーションになるかも知れない、ということ。
    たとえ誰からも分かるような立派な活動でなくとも、コードや議論をOSSコミュニティでやっておくのは悪くない作戦。何も起きなかったとしても別に損することはないですし、もしかして面接のときにOSS関係の活動のことが得点になる相手だったら、高得点なるかも知れないですしね。ぼくはそれで雇った人が何人かいます。
    日本にいる人がこっちのカンファレンスに参加したり喋ったりするのは敷居がちょっと高いかも知れないけれど、OSSコミュニティに参加してコード書いたり議論したりするのは日本にいても簡単にできるし、人の役にも立つんでオススメかと。
    実際、ぼく自身、べつに大したことをしてるわけじゃないけれど、それでも知らない人(知ってるけど知らない人とか本当にまったく知らない人とか)から、スタートアップやプロジェクトなどに声をかけられてますし、ぼくから誘ったこともある。
    OSS rules 🙂

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  14. 先日、例のNデータ社のoutsource開発会社のベテランエンジニアが某地方銀行のATMカードデータを盗んでカード偽造して¥3000マンほど引き出した事件について、東京新聞からコメントとか求められたのですが、そのときに「アメリカのエンジニアでは弁護士のように時間$200~300取る人もいる」(実際数は多くはないですけど知人にそのクラスはいるので)と言ったら、それが当たり前の額のように記事では書かれてて、ちょとアセりましたが、その前にこのポスト見てたら参考にしましたです。とりあえず読者には、日本のエンジニアの給与安過ぎの指摘と受け取ってもらえてればいいのですけどねぇ。

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  15. 金融よりもソフトウェア産業の方が給料が高いって、NYCとはカルチャーギャップ! ボストンとかって、どうなんだろ。そっかー、今月から日本で1年間の工学修士(IT)プログラムに通ってるんだけど、ちょうどいいかも。

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  16. ご存知の様に、上記データが指す「金融サービス」とは、商業銀行の窓口マンなどです。従って、有名なウオール街のGSなど投資銀行マンは対象外でしょう。

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  17. IT分野において米国内でもシリコンバレーが別格であるのと同様に、(おそらくは)ウオール街の金融サービスも別格なんでしょうね。別格のもの同士や別格と平均を比較するのはあまり意味がないと思います。
    それにしても、いくら別格とは言えシリコンバレーと日本とはえらい違いです。orz

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  18. はじめまして。いろいろと検索したらこちちのblogに着きました。
    日本では残業代が出ないとSE,PGは給料が安いかも。残業代がすべて出ると結構な額になります。(それでもシリコンバレーには届きません。)
    英語ができれば、海外で挑戦したいと思うつつ、気がつくと三十路…。

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  19. 友達はITリクルータですけど、彼にチャートについて、メールしたら、以下のコメント:
    hey yozo. yes, those are typical salary ranges for talented developers. and yes, now the it industry is booming particulary the online media/advertising space like google, yahoo, msn, etc. thanks.
    インターネット広告って、日本でも伸びてるもんなぁ。
    でも、talented developer っていうのが、捻ってあるなぁ。

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  20. 上田ガクさんの「シリコンの谷は、いま。」(http://www.1101.com/siliconvalley/)は読まれましたか?>Takanoriさん他

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  21. 本文ではさりげなく置き換わっているように見えてしまうのですが、14万ドル超は「ソフトウェア従事者」の平均であって、「エンジニア」+マネージャ(CTO, CEOまで)ですよね?
    別に「エンジニアが尊ばれている」という結論に反対するわけではありませんが、確認したかったもので。

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  22. ○従業員 ×従事者  では?
    でも、ストックオプションとか含むから高くなるのでは?
    Average Pay Per Employee, by Industry Clusters and Other Industries
    Average pay per employee for each cluster was derived from the EDD/Joint Venture: Silicon Valley Network data set and are based on the QCEW. Appendix B provides NAICS-based definitions for each of Silicon Valley’s industry clusters. Average pay per employee in the clusters is calculated by summing quarterly payroll and dividing by average annual employment in the cluster in 2004. All wages have been adjusted into 2004 dollars using the annual average Consumer Price Index (CPI) of all urban consumers in the San Francisco-Oakland-San Jose region, published by the Bureau of Labor Statistics.
    Pay includes bonuses, stock options, the cash value of meals and lodging, and tips and other gratuities. Pay per employee is calculated by dividing annual (quarter two to quarter two) payroll for each industry by annual average employment (quarter two to quarter two).

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  23. chikaです。
    えー、絶対額についての、コメントがいろいろありますが、どっちかっていうと、本エントリーは産業間比較として見てくださいませ。
    一応説明しますと、Software以外のClusterの中に「manamgent」という類のものはありません。よって、おのおののClusterには、その業種に入る企業の全従業者が入るはずです。もっと細かく言うと「Payroll」の対象者。Payrollとは給与として支払われる額ですが、個人コンサルタントでも会社化して自分自身に給料を払えばPayroll扱いになります。
    ということで、たとえばFinancial Servicesには全金融サービス従業者が入るはず。その中には数十億円稼ぐ投資銀行員もいるかもしれませんが、薄給で働く銀行の窓口の人がたくさんいるので薄まっちゃう。(アメリカの銀行の窓口の人ってとっても薄給。私がたまに行くCitibankの窓口のお姉さんは、夜はデパートの化粧品カウンターでも働いています。二つの仕事を掛け持ちなんですね・・・大変。)
    一方、通常のシリコンバレーのソフトウェア企業(ハイテク系やバイオ・ヘルスケア系などすべてそうですが)は6割以上が技術職のことが多いので、エンジニア・サイエンティストの給料の代替指標としてそれぞれのClusterを見るのはそれほど間違っていないと思います。特に業界間比較としては悪くないはずです。
    絶対額については下記のエントリーを見てください。
    http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/03/post_4.html

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  24. シリコンバレーでエンジニアが尊ばれているのは本当だよ

    http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/04/post_7.html
    「シリコンバレーでは、ソフトウェア産業従事者の給料が一番高い」
    らしいです。
    記載されている産業別平均年収のグラフからも読み取れるが、
    ソフトウェア業界の人間の年収がずば抜けて高い。
    金融業界より……

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  25. 現在、サーバネットワークの運用管理を行っているのですが、どの給与体系に当てはまりますか?
    ビギナーな質問ですいませんが、ご回答頂ければ幸いです。

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