アバクロの秘密

去年の夏、日本から来た妹とサンノゼのショッピングモールに行った。周知の通り、アメリカには日本人サイズの服は中々ないが、ティーン用の服は小さくできているので、結構着られる。なので、Abercrombie & Fitchに行って、「ここならサイズが合うよ」と言ったら、最初「へー」とかいいつつ、疑い深げにTシャツなど見ていた妹だが、何か思うところあったらしく、「ここ、なんて店?」と聞いてきた。私が「アバクロンビーアンドフィッチ」と答えると、しばらく考えた後、突然

「アバクロ!」

と叫んだ。そして、それからは、急に目つきを変えて買い物を始めた。聞けば日本でとっても人気とのこと。(なんですか?)

「アバクロ」って言っても、アメリカでは通じませんが、まぁ、それはいいとして、このアバクロ、実は19世紀に始まった「釣具洋品店」なんですね。

ナイスな釣り用具やキャンピンググッズを、気合の入った釣り人に売る、という店として始まったらしい。その後スポーツ用品・スポーツ用の服全般に手を広げカタログ販売も行い一世を風靡。が60年代にビジネスは悪化、70年代に倒産。80年代にLimitedが買収して、高校生-大学生あたりに特化したブランドとして90年代に再建。

しかし、今、こんな写真のような、きわどい路線で売り込んでるAbercrombie & Fitchが、昔は釣具屋さんだったっていうのは、着てる大学生たちは知るまいな。70-80年代ごろも、細々とではあるが、オッサンくさい釣り用品チェーンとして存在してたようで、当時を知る人にとっては、今のAbercrombie & Fitchは隔世の感があるらしい。ブランドの換骨奪胎、ですね。

なお、Abercrombie & Fitchの店員は、大抵、美形のお兄ちゃん、お姉ちゃんである。「金髪・碧眼」みたいなのばっかり採用した、ということで、マイノリティから人種差別で訴えられたりもしていた。(なので、最近は、かっこいいマイノリティの店員も増えているように感じられる)。

ちなみに、創設者はAbercrombieさん。そこに熱烈ファンの客だったFitchが出資。が、その7年後にはコンサバなAbercrombieは追い出され、拡大志向のFitchがトップとなる。1900年ごろの話。100年以上前も今も、乗っ取ったり乗っ取られたり、企業の生業は、今とあまり変らないんですね。

もっと詳しく知りたい方は、Wikipediaなど読んでみてください。

アバクロの秘密」への8件のフィードバック

  1. 日本でも人気みたいですよ。
    昨日ヤフージャパンのトップにあった人気のアイテムの一番上がアバクロになってまして、これは渡辺千賀さんにチクらなければ!と思っていたところでした。タイムリーなエントリーでした。

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  2. その、サンノゼのモール、夏に行きました!ふらっとアバクロに入ったら、ブワー!とアドレナリンが出て、(親切なイケメン店員に惑わされたか?)散財してしましました。私も小柄なので、場合によっては日本でのサイズよりアメリカサイズのXSや、0、00サイズの方が合ったりします。(最近日本でもXSとかサイズ展開増えてはきましたが)とはいえ、アジア人の多い西海岸限定でしょうか?フィラデルフィアで洋服を買おうとしたら、デカくて、ダサくてビックリした記憶が。

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  3. ここまで中身が変身する企業もあるんやね。アメリカのそういうダイナミックなところは好きだな。

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  4. Hollister

    アバクロといえば飛びつく人も多いようで、日本でも人気のブランドである。昨年、日本から来た知り合いが、娘さんに頼まれて、どうしてもアバクロに行きたいと言うので、サンフランシスコの町中の店に立寄った。当時、従業員に対する人種差別の問題か何かでもめていたため、名前だけは知っていたが、色使いや、マークがなかなかお洒落だなぁと感じた覚えがある。
    渡辺千賀さんのblogでも紹介されているが、服のサイズが小さいのもあるので、日本人にもいいのかもしれない。ただ、米国で売られている男性もののシャツの袖は長めに作…

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  5. アバクロのカタログやポスターの写真もブルース・ウェーバーだそうですね。日本の多くの若者がうたれてしまうわけです。
    しかし私の知り合いたちは米国で店で見るととてもかっこよかったのに自分が着るといまいちなの!?と半ばサギに遭ったかのように怒ってましたよ。そりゃ、あなた……。:p

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  6. satou-san,
    これが本当のsynchronicity?
    sarieri-san,
    出ましたか、アドレナリン。確かにアメリカの00はばっちりフィットですね。
    ぶらぶら-san,
    やっぱり経営者が変ると心機一転いろいろなことが起こるってことでは。
    ゾフィ-san
    ブルースウェーバー・・・知りませんでした。物知りですね!!なんかカッコイイポスターだなー、とは思ってましたが。
    >米国で店で見るととてもかっこよかったのに自分が着るといまいちなの!?と半ばサギに遭ったかのように怒ってましたよ
    これは、もちろんアメリカ人の多くもみな苦しんでいるのではないでしょうか。店員さんは選ばれたエリートなのだ・・・・。

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  7. 上のほうにコメントしたsatouです。勘違いをしておりました。渡辺千賀さんが以前にもアバクロとそれが人種差別で訴えられた事に関して書いておられたと思い「チクる」などと書いたのですが、錯覚でした。大変失礼しました。
    自分が読んだのはにょぶろ!レッドロックスの風を見よ!さんの以下のエントリーでした。
    http://nyoburo.cocolog-nifty.com/usa/2005/07/post_3f21.html
    http://nyoburo.cocolog-nifty.com/usa/2005/07/post_baa8.html

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