ふきだし笑いを防ぐ方法

Larry Ellisonの家が売りに出ましたというエントリーに

通勤電車で「死ぬかと思った」を読んでいたら笑いがこらえきれなくて激しいくしゃみの振りして口と鼻に手を当ててブッ!とやったら耳がボコっと抜けました。

というコメントを頂いたので、お返しに「口をあけていれば、ふきだし笑いは絶対に防げる」という生活豆知識を伝授します


私は笑い上戸。もう少し若かりしころは、シリアスな仕事の場でも絶望的笑いがこみ上げてきて困った。

「絶対に笑ってはいけない」

と思えば思うほど、ふきだし危険度はグングンと上がっていく。たとえば:

  • 上司が、大会議の副議長であるにもかかわらず出席者の前で爆睡する

その昔、70人くらい参加したとある集まりがあった(日本です)。議長は、某元国有通信会社の非常にまじめなエライ人。そして当時の私の上司が副議長。出席者全員に向かって、二人が相対して座る、という形式。

議長氏は延々と話していたのだが、突然、

「こちらにいらっしゃるAさんも・・・」

といって、片手を差し向けながら自分の隣に座っている私の上司の方を向いた。

しかし、当の上司殿は背もたれのカドに背中をもたれかからせて、頭を後ろに仰け反らせて寝ていたのである。上体が横に30度ほど傾き、頭は潔く45度ほど後ろに傾いている。

上司氏は、ランチで必ずダブル・マティーニ・オンザロックを2杯(またはワイン1-2本)飲むという方で、
「ぼくは全然酔わないんだ」
と豪語していたのだが、実は午後2時前後は爆睡タイムなのだった。その日は運悪く、そのお休みタイムに、70人のまじめな電機・IT系会社の方々が見守る壇上にいたのである。

一瞬シーンと。まじめな議長氏は、睡眠中の私の上司のほうに片手を差し出したまま凍り付いている。2秒ほど沈黙が続いた後、議長氏は何もなかったかのように正面に向き直り、話を続けた。

私は会場の片隅に座っていたのだが、たまたま隣に座っていた、まじめな議長氏のまじめな部下の方が、いきなり私をゆすって、

「渡辺さん、Aさんが寝ていらっしゃいます!何とかしてください」

と切羽詰った押し殺した声で訴えてきた。「寝ていらっしゃいます」と敬語でいわれても、困るであります。

  • 同僚♂が、会議の休憩中に、Tバックをはいているという理由で神宮プールから追い出されたことを告白

長い会議の休憩時間に、隣に座っていた同僚(40代・男性)が突然
「渡辺、僕、この間、神宮プールに行ったら、係員に『出て行け』っていわれちゃったよ」
(20代半ばの私)「え、どうしてですか」
「うん、それがね、Tバックはだめだって言うんだよ」
「え、Bさんっ、Tバック穿いてたんですかっ?」
「そう。そうしたら、係員が『そういう方はお断りします』って言うんだよ。失礼しちゃうよね。」
「・・・・・・」

ちなみに、Bさんは、色黒でかなり肉付きの豊富な壮年の男性。そのBさんがTバック(・・というか、Bさんじゃなくても、だが)・・・・私が言葉もなく呆然としていると、Bさんをはさんで私の反対側に座っていた、年のころは20代後半のCさん♂が会話に加わってきた。

Cさん「ほー、Bさん、Tバックですか。どちらで買われたんですか?」
Bさん「新宿の伊勢丹」
Cさん「へー、伊勢丹でTバック売っているんですか。それは知りませんでした。何色ですか?」
Bさん「黒」

いきなり普通の世間話に持ち込むか。Cさんは、誰に対してもソツなく対応する物腰の柔らかさが売りだったのだが、でも、世渡り上手ぶりを発揮している場合か。Tバックで公共の場を闊歩するという事態を告白されているのに・・・と私が呆然としているところで、会議が再開した。会議中、私はBさんのTバック姿を頭の中で構築してしまい・・・。

(なお、この話の数週間後、新聞を読んでいたら「神宮プールTバック禁止令」という記事が載っていた。ゲイの方々が、Tバックを合図にナンパしあって風紀が乱れるから、とのこと。うーむ・・・そういう深い理由があったのか。)


さて、豆知識に戻ると、こういうとき、口をがばっと大きく開けておくと、絶対に吹きだしません。はーはー、と荒い息が漏れるだけで。のどの方まで一気に広く開けるのがポイント。口をあける瞬間は「思い切り吹きだしてしまうのでは!」という恐怖に駆られますが、がんばって!笑い欲求が頂点に達する前にすばやく対処するのがコツです。

ただし、「大きな口をあけたまま、はぁはぁと荒い息をして体は小刻みに震える」という状態になります。変な人だと思われると困るので、難しいことを考えているふりをして、口元を手で押さえておくのをお忘れなく。

ふきだし笑いを防ぐ方法」への17件のフィードバック

  1. 私も頻繁に思い出し笑いをしてしまう事がある為、これは実践してみたいです。
    他に涙をとめる方法なんか無いでしょうかね?
    何度読んでも泣いてしまう本があって、電車の中で涙をつつつーーっと流した事が2、3度あります。
    あ、電車の中で読まなきゃいいのか。
    ちなみに自分、学生時代に吹奏楽をやっていたのですが、演奏中等にくしゃみがしたくなったら、鼻をつまんで左右にもぎもぎすると良いという方法を教わりました。暫く、くしゃみが出そうで出ない感覚が続きますが・・・。

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  2. ハァハァ・・・エヘン、、エヘン、、、ェィェィ
    ふき出さないコツを先に書いてくださいよー。意地悪ですねぇ。
    サンディエゴのホテルのバーで読みながら笑うのをこらえてました。
    >「大きな口をあけたまま、はぁはぁと荒い息をして体は小刻みに震える」という状態になります。
    のところで、早速実践してしまいました。
    >口元を手で押さえておくのをお忘れなく。
    を先に読んでいなかったので、オランウータンのように歯ぐきをむき出しながら
    エロ目になっていた自分が傍目からみて怖いです。
    お返しに、怖い映画を映画館でみても「ビクッ」としないコツを書きます。

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  3. 「死ぬかと思った」は電車の中で読んじゃだめ!

    On Off and Beyondさんのブログで「ふきだし笑いを防ぐ方法」という記事が書かれていた。そのなかで「死ぬかと思った」のことがでてたので、久しぶりに読んでみたくなった。あとで外出時�…

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  4. ぐはっ
    だめです。音声ははいりませんが肩ががくがくするのがとめられません。
    思い出し笑いって連鎖しません?

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  5. 独り部屋でこの記事を読んでてよかった…
    これが日本のような大部屋だったら、「涙」を流しながらハァハァいってる姿を見られたかもしれない…(汗)

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  6. 一瞬、わたくしそのBさんを見かけているのではないかと土器っとしました。神宮プールには80年代ずっと90年代始めまで夏になると毎年よく通っていましたもので。
    そのころから新宿2丁目方面の方々は世の中より一歩先んじてTバックだったので、「今さら禁止されても…」と憤慨していたでしょうね。それのみがナンパの合図ぢゃないですから。ちなみに女性のTバックと類似超ハイレグも同じころ禁止されたと記憶しております。しかしそれが神宮ブールが閉鎖になった理由だとしたら、営業的には失敗な判断だったのではないかと。(んなわけないか?)

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  7. shintaro-san,
    いや、がんばれば、傍目にはわからないくらいまでモーションは抑えられます。
    xap-san,
    >他に涙をとめる方法なんか無いでしょうかね?
    何度読んでも泣いてしまう本があって、電車の中で涙をつつつーーっと流した事が2、3度あります。
    これはですね、ジッとなき続けて、誰かが
    「どうしましたか?」
    と聞いてきたら
    「いえ、ちょっと寂しくなっただけです」
    というとその人が
    「わかります。私もよくそういう気持ちになることがあります」
    といってくれる・・・という「村上春樹ごっこ」に持ち込むというのはいかがでしょうか。確か国境の南・・・・か、ノルウェーの森か、どちらかの出だしのほうにそういうシーンがあるのだ。
    (小説では、電車じゃなくて飛行機で、話しかけてくるのはスッチーさんですが)
    しかし、この会話をはじめて小説の中で見た時は「こんな会話ぜってーありえないっ!!」と一人で赤面して、そこで読むのをやめてしまったのでした。それ以降、5年くらい一度も村上春樹に触れなかった・・・。
    ジョージ-san,
    >オランウータンのように歯ぐきをむき出し
    オランウータン的に口を上のほうにあけると、顔全体がゆがんでばれてしまうので、歯医者で口をあけるように下のほうにアーンとあけると良いかと思います。
    >怖い映画を映画館でみても「ビクッ」としないコツ
    楽しみにしてます。
    MATSU-san,
    思い出し笑いが連鎖するのは若い証拠!です。
    yoshinoriueda-san,
    私も、アメリカで暮らすようになってから、人目をはばからずわっはっはと笑う癖がついてしまい・・・・
    gt-san,
    ひょえー詳しいですね。ちなみに、Bさんがよく一緒に遊んでいる人たちには、似たような体型で似たような年頃の人たちが何人かいて、「一緒に全身黒の皮のつなぎを着て『山登り』にいった」とか、首をかしげるような休日の過ごし方をしたことを教えてくれたものです。登山道で出会った人たちが逃げていったそうです。
    >それのみがナンパの合図ぢゃないですから。
    き、気になります。それのみぢゃない合図とは?!

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  8. うみゅ〜全身黒の皮つなぎを着た山登りの一団はコワイですねぇ。
    ちなみに合図、私が観察していた感じでは、筋肉を見せつける、すぐ隣にタオル引いて寝そべる、あとは定番の視線で伝える、て感じでしょうか。
    神宮プールに通っていたその方々には2種類居て、ツルンとしたアザラシ体型タイプとポディービルダー系ムキムキタイプの方々で、ムキムキタイプは筋肉を見せつけながら意味もなくプールの周辺を歩き回っていることが多いのです。アザラシタイプの方々は、なぜか実際のアザラシが浜辺で群れるように、かたまって日光浴していることが多かったです。
    あのプールには他にも南米系女性のグループがブラジル系水着で出没していましたが、Vラインから目一杯ヘアをはみ出させても平気で闊歩していたり、その隣の高飛び込みプールではシンクロナイズド・スイミングの練習があり、有名になる前の小谷ミカ子とおぼしき人もみかけるという、不思議な場所ではありましたが。

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  9. gt-san,
    おー、貴重な情報(なのか?)ありがとうございます。
    うーん、私も神宮プール行った事ありますが、確かに何だか摩訶不思議な空間でしたね。ぎらぎらしてるって言うか。「神宮プールドキュメンタリービデオ」なんてものがあったら、歴史上重要な文化人類学の資料になったかも。

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  10. Chikaさん、
    どうもお久しぶりです。
    クラスメイトの結婚を祝いに、初のサンフランシスコ・ビジット中であります。観光もだるいので、来年GSBを卒業する会社同期(♀)にStanford界隈を紹介してもらいました。
    「で、シリコンバレーってどこなの?」的なFAQを彼女に聞きながら、そういえばChikaさんてシリコンバレーだったよな、と思い出し、先ほど彼女にOn Off and Beyondを紹介したら早速お気に入り登録の模様。
    関西出身な彼女「敬語でいわれても、困るであります。」あたりでツボった模様であります。
    因みに隣では、妻がオランウータンにならない開口方法を試しています。歯医者でのイメージで。あーん。プルプル。

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  11. ジョージ-san
    ベイエリアって、観光するにはあんまり楽しくないかなーという気がします。サンフランシスコはいいですが。
    そうね、私も「敬語」のところが一番ツボに入りました。最近、口をあけなきゃならないほどの笑えることがなくて、年齢を感じますです。はい。

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  12. 知的な文章を読ませて頂いているうちに好きになってしまいました。
    お仕事がんばってください。

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  13. 2009年のエントリーから、こちらに参りました。
    Cさんは世渡り上手だったかも知れませんが、Tバックの趣味の方ではなかったでしょうか。匂いを感じたBさんが、確認の為に話題を振った?とか妄想。良く出来た大人のジョークで”ニヤリ”としました。
    話は変わり、ある講演で壇上に向かう講師の方、きちっとしているがスキニーなパンツルック、後ろ姿が日本では見られないナチュラルな揺れ方。”Tバックなのかな?アメリカって自由でいいな”とニコリしました。

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  14. ピンバック: 心に残るプチ変なこと:長い苗字 | On Off and Beyond

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