西教授・橋本氏・能力と身のおき方

StanfordのNanofabrication Facilityを統括する西教授という方がいる。東芝でメモリの開発をした後、80年代半ばに請われてHPの研究所長となり、さらにTIに招かれてTIのR&Dの長となった。昨年からStanfordだが、TIでは創立以来はじめてのChief Scientistという役職も兼任している。私が関わるNPO,JTPAのアドバイザーにも就任いただいている。

Electronic Artsで VP of Technologyを勤める橋本氏には、昨日のセミナーでパネリストをお願いした。Square(昨日スクエアと書いたがスクウェアが正しいとのご指摘あり。失礼しました)でFinal Fantasyの開発に従事した後、EAのCEOに請われて昨年同社に移った。

お2人の共通点は、日本が世界最高の業界で頭角を現し、そこからさらにアメリカのグローバル企業に活躍の場を動かしたこと。80年代半ばといえば、製鉄や自動車のように、半導体産業もアメリカから日本に奪われてしまう、と思われていた時代だ。そして今は、デジタル・ゲームのメッカといえば日本である。

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昔、日本の大企業で勤めていた頃、労働組合の給与関係の部会のメンバーだったことがあった。(!)その中で、とても驚いた議論があって、それは
「給与はポテンシャルに払うのか、実績に払うのか」ということ。
そんなもの、実績に決まってる、と私は思った。どうして実現されていないポテンシャルに報酬がもらえると思うのか理解に苦しんだ。もちろん、高い実績を上げるであろう能力が高そうな人を採用するには、ある程度高い給料を予め払う必要があるとは思うが、3年寝太郎ではあるまいし、何年もポテンシャルだけで給料がもらえるわけではないのは当たり前ではないのか?

なぜ「ポテンシャルに給料を払うべきだ」と思う人がいるのだろう、と考えたのだが、そこには「人間には持って生まれたポテンシャルの限界まで着実に伸びていく」という思いが裏にありそうだ。しかし、東京とシリコンバレーとで、いろいろな人と働いてみて感じるのは、「成長できる場にいた人は伸びる、そうでない人は止まってしまう」ということ。どんなにポテンシャルがあっても、必ずしもそのポテンシャルいっぱいに能力が伸びるわけではない。
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西さん、橋本さんのお2人も、もちろん元々優れた能力をお持ちだったと思う。しかし、やはり世界最高峰の場で研鑽されたことが、グローバルにhigh demandなプロとなるために大きな役割を果たしたことは間違いないだろう。

ということで、成長する手っ取り早い手段のひとつは「世界で最高の場所で働く」こと。もし私が今大学を出たばかりのワカモノで、これから日本で職を選ぶとしたら、何を選ぶだろうか?今の日本で世界最高ということで私が思いつくのは、ゲーム、モバイル、渋谷系ファッション、食文化(というか、レストラン文化)というところ。祭り、和太鼓なんかも凄いが、海外に場を移すのはちょっと難しそう。

他に「これは日本が世界一」というものがあれば教えてください。

西教授・橋本氏・能力と身のおき方」への3件のフィードバック

  1. はじめまして
    東京六本木でわずか6人でベンチャー企業を立ち上げています.ちょっとニッチな世界ですが、欧米をあっと言わせる技術を日本発世界へ!をモットーに日々悪戦苦闘してます.
    私は今は小さくとも新しい夢を持って世界を目指すことも最高の研鑽の場だと考えてます. この場を借りての私自身の決意表明ということで流してください.
    他稿でラーメン談義が盛んでしたが、私も一年前までは、じゃんがらラーメンをロサンゼルスに持っていこうと真剣に考えてました(マーケティング調査結果で断念). ラーメン文化は日本が世界一でしょうね.

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  2. takumaサンがんばってください!!六本木とはまたおしゃれな場所ですね・・・。私は昨日サンフランシスコの坂の上にある高層ビルの33階のオフィスを訪ねて、眩暈がしました。もはや3階以上の高さに耐えられない体になっているのかもしれません。Bay Areaは田舎ですので。。。六本木のような大都会とはえらい違いです。

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  3. Chika-san,
    六本木は町名だけで,大都会のダークサイドに在る雑居ビル2Fです.新しくOpenした六本木ヒルズを足元以下から見上げてる感じですね.去年までの青山の2坪オフィスと比べれば大躍進ですが…
    小さいベンチャーでも,日々成長をしていく過程がすごくエキサイティングだと感じてます.お客さんの評価は上々ですし,三年後にOpeningBellを鳴らす?こともあるかも
    会社の成長と共に私もスキルアップしていきたいものです.

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