変なものに出会う体質(?)

私の記憶庫にはたくさんの「日常生活の中の少しだけ変な出来事」が格納されている。長いこと「変な出来事は誰の日常でも起こっている」と信じていたのだが、実は私が「変なことに出会いやすい体質なのでは」と、とある人に指摘された。

私が出会った少しだけ変なことには例えばこんなのが:

その1:浪人(とスーパーマン)に出会う

小学生の頃、新宿駅を母と妹と歩いていたら、侍姿(旅の浪人風。脇差を付け、三度笠をかぶっていた)に道を訪ねられる。
「三越はどこでござるか」とか、言葉遣いも時代劇風だった。
母が何事もなかったかのように
「あ、三越だったら、3つ目の角を右に曲がってすぐですよ」てな感じで返事をしたら、
「かたじけない」
とか言って、姿を消していった。

私はもう仰天して、
「お母さん、あの人なになになに」と聞くと母は、
「しっ、静かに。この街には変な人がいっぱいいるんだから、無視するの!」と。

すると、その直後、金髪のアフロヘアのカツラをかぶり、全身スーパーマンの装束に身を包んだ中年のしょぼくれた男性が、自転車の上でスーパーマンが飛ぶ格好をしながら通り過ぎていった。
「あの人は、この辺の新聞配達の人」と母に言われ、(確かに自転車のカゴには新聞が満載だった)そうか、変な人はいっぱいいるんだ、と母親の英知に感動したのであった。

その後10年ほどたって、何かの週刊誌を読んでいたら、テレビ番組のプロデューサーが「昔、侍の格好をした人に道を歩かせて、周囲の人の驚くさまを撮影しようと思ったところ、誰も驚かない。仕方ないので、侍役の人に道を聞かせたりしたが、みな普通に反応するだけだったので、結局企画はボツになった」と書いているのを発見。長年の疑問が氷解した一瞬であった。

***

その2:世の中の噂どおりの東大受験生に出会う

東大入試の時のこと。試験の始まる前、斜め前の人が手を挙げて
「鉢巻をしめてもよろしいでしょうかっ!」
と聞いた。了承を取ると、おもむろに白地に「必勝」と書いてある鉢巻を丁寧に締めだした。

その後、数学の試験中には、突然別の人が手を挙げて、
「鼻血が出ましたっ!ティッシュを鞄から出してもよろしいでしょうかっっ!!」
と言った。教官に「どうぞ、早く出してください」と言われ、ごそごそとティッシュを取り出して鼻に詰めていた。

いずれも、なんだかもうこれから出陣する兵隊さんのような生真面目な調子だった。特に後者の鼻血に関しては、私は一人で笑いをこらえて悶絶寸前だったのだが、まわりは何事もなかったかのようにカリカリと答案を書いている。それもおかしくて、しばらくの間、胃がよじれるくらい(声を殺して)笑い続けてしまった。(私は、数学では5問か6問あるうち1問しか解けず、後はもう絶対解けないことが明らかだったので、残りの試験時間中(2時間以上も)ほとんど、周囲を観察していたのであった。)

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その3:家族が巨大UFOを目撃する

これは私自身ではなく、母と祖母(と近所のおばさん)の経験なのだが、実家の上でUFOを目撃。夏の夕方、まだ明るい中で、巨大な円盤が出た。地平線から出たばかりの月ぐらいの位置に、まんまるの巨大な円盤がぽっかり。点々と光源が散らばり、それぞれから白く輝くビームが出ていたそうだ。それがすーっとまっすぐに遠ざかりながら角度を伏せていったら、麦藁帽子みたいなおなじみのUFO形になって、今度はジグザグに動きながら近くの3階建てくらいのマンションのかげに消えていったそうである。

その直後に私が家に着いたのだが、家族は偉い興奮していた。祖母いわく「人生で見た中で最もきれいだった」そうだ。きっとニュースになるだろうと思っていたが、何もなく。いったいなんだったんでしょうか。

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その4:三菱・住友・ミツイ・伊藤忠 ロイヤルフラッシュ

三菱商事で働いていたときのこと。とあるプロジェクトで、客先の担当者の名前が住友さんと満井(みつい)さんだった。ミツイさんは結構いる名前だが、住友は珍しい。さらに、同じプロジェクトで、外部のコンサルティング会社と契約した。その会社の社長の名前は伊藤忠だった。ネタだろう、となかなか信じてもらえないんだけれど本当に本当の話。

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こういう小ネタ系の変な話を言い出すと、きりがなくいっぱいあるんだけど、ずっと「誰もが同じようにちょっと変なことに出会う」のだと思ってました。どうなんでしょうか・・・・。

変なものに出会う体質(?)」への5件のフィードバック

  1. いや、chikaさんの体験おもしろいですねー。
    人って大ネタ、小ネタ、いくつかは出会っているかと思いますけど、
    それをオモシロイと思うこと → 出来事として記憶すること
    ってなかなかできてないんじゃないでしょうか。
    なんかヘンだなあ・・・と思ってやりすごしちゃうとか、
    記憶に残らないとか。
    だからchikaさんがオモシロイ出来事をおもろい話としてとらえられること、
    それの記憶力、が人より抜きん出ているんじゃないでしょうか。
    それにしてもおもろいなー。
    胃がよじれるくらい笑っているっていうその光景。

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  2. micaさん説の、「面白いと思うこと」の方はまぁ良いとして、「それを記憶すること」は脳の無駄遣いですねぇ。
    お願いだから、もっと役に立つことを、砂漠に水が染み入るように覚えて欲しい、私の脳よ!

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  3. 変なものに出会う体質

    On Off and Beyond: 変なものに出会う体質(?) 私の記憶庫にはたくさんの「日常生活の中の少しだけ変な出来事」が格納されている。長いこと「変な出来事は誰の日常でも起こっている」と…

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  4. 新宿のその新聞屋さんはかなり有名だった筈です(まぁ、昭和の話ですが)。
    私も高校生か大学生の頃に遭遇し、「これがアノ噂の」と思った次第です。
    たしか、なにかの雑誌に紹介されていたかと。

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  5. ピンバック: F-wordで客室乗務員に連行される人々 | On Off and Beyond

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